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出会いが絆が紡ぐ新たな物語―― ”リリカルなのは“シリーズ新章LIFT OFF! 人と魔導との出会いは果たして幸福であったか否か かつて世界に争いを起こしたのが巨大な魔導の力ならば 争いを止めたのも また同じ魔導の力だった 世界はいま片時の平和の中のにあり 答えは今だ出ていない シスター「はい…ミッドチルダ宛ての電信絵葉書の送信ね」 トーマ「うぃっス」 シスター「旅行中?」 トーマ「はい」 シスター「いいわね、今日はどこまで?」 トーマ「この先の鉱山遺跡で宝探しと」 Record01 「Engage(エンゲージ)」 トーマ【前略、スゥちゃんお元気ですか?俺は一昨日からルヴェラの文化保護区に入りました。 ワガママ言って許して貰ったひとり旅も残りあと3か月。 保護区内は次元間通信が不安定なのであんまり連絡できませんが】 トーマ「なースティード、到着は夜になるかな」 スティード「そうですねトーマ、食糧の準備は充分で?」 トーマ「もちろん」 トーマ【俺は元気でやってます(スティードに教わって勉強もちゃんとやってます) 約束通り旅行の間に世界を見て回って自分の答えを見つけます】 トーマ「おー!やっと見えた!」 スティード「お目当てのルヴェラ鉱山遺跡ですね」 トーマ「うん」 スティード「ですがもう夜です。野営できる場所を探しましょう」 トーマ「だな」「先客かな、今明かりが見えたような」 スティード「こんな辺鄙な場所に?」 女研究者「機材とデータの搬出は終了です。後はマテリアルですが」 男研究者「廃棄処分だ、ここに捨てていく」 女研究者「献体はともかくシュトロゼックもですか?」 男研究者「できそこない一基にいつまでも関わっておれんよ。向こうで銀十字(こいつ)の保有者を書き換えれば済む」 スティード「引っ越しにしては物騒ですね」 トーマ「関わり合って得はねーな。このままこっそり…」 リリィ『痛イよ。苦シいヨ』 トーマ「あ、つっ!!」 スティード「トーマ!?」 トーマ「いて、いてて…っ。この声念話…!?」 スティード「!?私には何も」 トーマ「あの奥…助けてって言ってる!」 スティード「トーマ、あなたまさか」 トーマ「助けてって言ってる」 スティード「――ですよね。ただ、あなたがケガをすると私も彼女に怒られますので」 トーマ「オーライ相棒(バディ)うまくやるさ」 トーマ「うお…ッ!ここ研究施設…?」 スティード「それもだいぶヤバイ方向の」 リリィ『痛い、よ』 トーマ「痛いのすぐに止めてあげるから」「――解け」「!?あッ!づ…っっ!」 男研究者「侵入者!?」 女研究者「何者かがシュトロゼック-4thに接触!それにこれはリアクトの反応!?」 リリィ『だめ、痛いよ、怖いよ、寂しいよ、来ちゃだめ』 トーマ「大丈夫…泣かないで。俺がいますぐ助けるから」「!!」 「てて…っ、大丈夫ッ!? !!!全裸!?き…!着るもの!スティードなんか服っ!!」 スティード「それらしきものならここに」 男研究者「失態だ。安置室を熱焼却処分!シュトロゼックと侵入者ごとだ!!」 機械音声「警告、警告。感染災害の危険発生。これより熱焼却処理を行ないます。 トーマ「しょ、焼却ッ!?」 スティード「困りましたね、暑いのは苦手です」 機械音声「近隣ブロックの職員は至急避難を」 トーマ「手伝えスティード!」 スティード「オーライトーマ」 機械音声「カウント6」 スティード「Protection」 トーマ「あの、いきなり飛びこんできてこんなことになっちゃって本当にゴメン」 機械音声「5」 トーマ「でも大丈夫。きっと助けるから」 機械音声「4」「3」「2」「1」 リリィ『誓約(エンゲージ)』 機械音声「0」 男研究者「やったか!?」 機械音声「プラズマアーク正常作動!」 男研究者「いかなる防御をしようと人間が生存することなど――生きている。 あれが完成したのなら!金属が沸騰する温度の中でも活動しうるッ!!そういうものを! 我々は!造り出そうとしていた!!」 ディバイダー966「E-C DividerCode-966」「StartUp」 トーマ「――ディバイド、ゼロ」ドゴッ ズドン スティード「トーマ、トーマ!」 トーマ「んあ、え、あれッ!?」 スティード「大丈夫ですかトーマ。それになんですか?そのイカした格好は?」 トーマ「うおお!なんじゃこりゃあ―!!」「あ」「おお!」「――あれ、なんだこの腕輪」 「ああごめん。大丈夫?」「俺、トーマ・アヴェニール。名前聞いても?} リリィ「リリィ、です。リリィ・シュトロゼック」 トーマ「リリィ。いいね、かわいい名前だ」「と、とりあえず安全な場所まで出よう!スティード周辺チェック!」 スティード「オーライ、トーマ」 同時刻 第12管理世界フェディキアStワレリー港 シャーリー「お疲れ様です。フェイトさん、ティアナ執務官。押収物には該当しそうな品ありませんでした」 フェイト「そう、銀十字もディバイダーもここじゃなかったか」 ティアナ「「エクリプス」の感染者を出すわけにはいきません」 フェイト「うん。もしも感染者が出たのなら、なんとしても捕獲しないと」 To be conntinued Record02 「Lily-Strosek(リリィ・シュトロゼック)」
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古代遺物管理部機動六課/Lost Property Riot Force 6 スターズ分隊/Forward Stars ライトニング分隊/Forward Lightning ロングアーチ/H.Q.Longarch 時空管理局陸士108部隊/Battalion 108 時空管理局本局/Administrative Bureau 時空管理局地上本部/Midchilda Center Office 聖王教会/Saint Church 一般/Ordinary People ルーテシア一行/Relic Weapon スカリエッティ&ナンバーズ/Unlimited Desire&Numbers
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第15話【Sisters&Daughters】 ギンガ「戦闘機人。それは、人の身体に機械を融合させ、戦闘能力を飛躍的に高める研究。 しかし、成功例の少なさや人道的理由を初めとする様々な問題点から、研究は中止され、 ついにはその存在そのものがタブーとされた。今回機動六課が担当する事件に戦闘機人が姿を現し、 私たちは事件捜査への更なる協力を申し出た。 戦闘機人事件は、私たち家族にとって重要な意味を持つ事件だから。陸士108部隊、ギンガ・ナカジマ」 ヴィータ「ティアナは今日もあたしとやるぞ」 ティアナ「はい!」 ヴィータ「突撃型のさばき方、第6章!」 ティアナ「お願いします!」 なのは「ギンガ」 ギンガ「はい?」 なのは「ちょっと、スバルの出来を見てもらっていいかな?」 ギンガ「あ、はい」 なのは「一対一で、軽く模擬戦。スバルの成長、確かめてみて」 ギンガ「はい!」 シグナム「なるほど。悪くない」 なのは「はい」 ヴィータ「ああ。二人とも、なかなかだ」 ティアナ「スバル、お姉ちゃんっ子だからね~。ギンガさんも、スバルに結構甘いし」 シグナム「スバルは、だいぶ使えるようになったな」 なのは「入隊以降、ずっとクロスレンジの基礎固めをしてきましたから」 ヴィータ「あたしとなのはが毎日毎日ぶったたいて、鍛えてるしなぁ~。あれぐらいは」 ヴィータ「反応は悪くなったぞ。スピードがおっつかなかったか」 スバル「あ、ああ…ありがとうございます!」 なのは「ギンガ、どう?スバルの成長は」 ギンガ「ビックリしました。攻防の切り替えが、すごくスムーズで、威力も段違いで」 なのは「合格?」 ギンガ「はい!ものすごく」 フェイト「しばらくは、同じ部隊だから、一緒に頑張ろう」 ギンガ「はい!」 なのは「せっかくだから、ギンガも入れたチーム戦。やってみよっか?フォワードチーム五人対、前線隊長四人チーム」 ギンガ「ぅえぇ!?」 スバル「いや、あのね、ギン姉。これ、時々やるの」 エリオ「隊長たち、かなり本気で潰しにきますので」 ティアナ「まずは、地形や幻術を駆使して、何とか逃げ回って」 キャロ「どんな手を使っても、決まった攻撃を入れることができれば、撃墜になります」 ヴィータ「悔しい気持ちのまま、反省レポート、まとめとけよ~」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!」 ティアナ「出動があっても、大丈夫なくらいには…限界ギリギリまでですね~」 キャロ「密度濃いんです」 ヴィヴィオ「おはよーございます」 マリエル「あ、えっと、おはようございます」 シャーリー「おはよう、ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「うん。しつれーします」 マリエル「あ、どうも。ご丁寧に…」 ヴィヴィオ「ママー!」 なのは「ヴィヴィオ」 フェイト「危ないよー。転ばないでねー」 ヴィヴィオ「うん」 なのは「大丈夫。地面柔らかいし、綺麗に転んだ。怪我はしてないよ」 フェイト「そ、それはそうだけど…」 なのは「ヴィヴィオ。大丈夫?」 ヴィヴィオ「うぁ、えっく、え」 なのは「怪我してないよね?頑張って、自分で立ってみようか?」 ヴィヴィオ「ママぁ~」 なのは「うん?なのはママ、ここにいるから。おいで」 ヴィヴィオ「え、ぇぁ、うぇ~」 なのは「おいで」 フェイト「なのは、駄目だよ。ヴィヴィオまだちっさいんだから」 なのは「あ」 ヴィヴィオ「フェイトママ」 フェイト「気をつけてね。ヴィヴィオが怪我なんかしたら、なのはママもフェイトママも、きっと、泣いちゃうよ?」 ヴィヴィオ「ごめんなさい」 なのは「もう、フェイトママちょっと甘いよ」 フェイト「なのはママは厳しすぎです」 なのは「ヴィヴィオ。今度は頑張ろうね」 ヴィヴィオ「うん」 シャーリー「あんな感じです」 マリエル「ああ。二人の子供かぁぁぁぁああうえぇぇ!?」 キャロ「ヴィヴィオ、髪の毛かわいいね~」 ヴィヴィオ「なのはママのリボン~」 なのは「アイナさんがしてくれたんだよね?」 ヴィヴィオ「うん!」 スバル「いい感じだよ~ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「えへへ」 マリエル「なるほど。保護児童なのね」 エリオ「僕の時と同じような感じです」 シャーリー「なのはさんが保護責任者。後見人がフェイトさんです」 マリエル「そっか」 ティアナ「しっかしまぁ。子供って泣いたり笑ったりの切り替えが早いわよね」 ギンガ「スバルのちっちゃい頃も、あんなだったわよね~」 スバル「え!そ、そうかなぁ?」 シャマル「リインちゃんも」 リイン「え~!?リインは初めっから割と大人でしたぁ~!」 シグナム「嘘をつけ」 ヴィータ「身体はともかく、中身は赤ん坊だったじゃねぇか」 リイン「う~。はやてちゃん!違いますよね!?」 はやて「あはは。どうやったかなぁ?」 なのは「ヴィヴィオ。駄目だよ。ピーマン残しちゃ」 ヴィヴィオ「あ~。苦いのきらーい」 フェイト「え?おいしいよ?」 なのは「しっかり食べないと、おっきくなれないんだから」 ヴィヴィオ「うぅ~~」 はやて「あ~、そやなぁ。好き嫌い多いと、ママたちみたいな美人にはなれへんよ?」 ヴィヴィオ「う~~~」 シグナム「スバルたちは、マリエル技官と外出か」 シャマル「いつもの健康診断よ。クラナガンの医療センターまで」 オーリス「機動六課からは、材料はでませんでした」 レジアス「そうか。公開陳述会まで間もない。より有利な交渉材料を押さえておかねば」 オーリス「引き続き、こちらの査察部を動かします。それよりも、本局査察部や一部の部隊が、 こちらを調べて回っているようです」 レジアス「いつものことだ。いつものようにこなせ」 オーリス「本局査察官に一人、やっかいな希少技能保有者がいます。本腰を入れられたら、 深いところまで探られる可能性もありますが」 レジアス「チッ。いまいましい。全ては必要あってのことだ。連中に理解させるには、まだ時間と実績がいる」 オーリス「最高評議会からの支援は、いただけないのでしょうか?」 レジアス「わしが問い合わせる。アインヘリアルのほうはどうだ?」 オーリス「三号機の最終確認が遅れていますが…順調です」 レジアス「遅らせるな。陳述会前には終わらせておけ」 オーリス「これから視察に行く予定です」 オーリス『例のプランといい、アインヘリアルといい、過ぎた力と思わなくもないが…』「あの方の…選んだ道だからな」 レジアス「教会のみならず、本局のご老人方も、何事か動かれているようですが」 評議員「三提督か?気にせずともよかろう」 書記「その通り」 評議長「彼らにはもう、人も世界も動かせはせんよ。陳述会はおまえに任せる。これまで通りでよい」 レジアス「はっ!」 評議長「そう。これまで通りでよい。何にも、問題は、ない」 ディエチ「新しい身体、どう?」 ウーノ「いいに決まってるわ。あなたたちの動作データが生きてるもの」 クアットロ「妹たちも皆順調です~。ナンバー7セッテ。ナンバー8オットー。 ナンバー12ディードも基本ベースとIS動作までは完成です」 ディエチ「9番ノーヴェと11番ウェンディの固有武装も、無事完成」 ウーノ「2番ドゥーエ。5番チンクは既に任務中。良いペースね」 スカリエッティ「祭りの日は近いな。君たちも楽しみだろう」 ウェンディ「あー。武装も完成したし、ドカーンと一発、暴れてみたいっすね~」 スカリエッティ「君たちは最前栄耀の能力だ。存分に暴れられるとも」 ウェンディ「だって。楽しみだねぇ~ノーヴェ」 ノーヴェ「別に。あたしは、確かめたいことがあるだけだし。あたしたちの王様がどんな奴か。 そいつは本当に、あたしたちの上に立つのにふさわしいやつなのかどうか」 ウェンディ「まぁ、よくわかんないけど。それ、すぐ分かるんっすよね?」 スカリエッティ「そうとも。準備は整いつつある。一つ大きな花火を、打ち上げようじゃないかー! ははは、あははっはははっは!間違いなく、素晴らしく楽しいひと時になる!あははは、はははっははは」 ギンガ「スバル」 スバル「ん?」 ギンガ「この先たぶん、戦闘機人戦があると思うんだけど」 スバル「うん」 ギンガ「しっかりやろうね」 はやて「今日、教会のほうから最新の予言解釈が来た。やっぱり、公開意見陳述会が狙われる可能性が高いようや」 フェイト「うん」 はやて「もちろん、警備はいつもよりうんと厳重になる。機動六課も、各員でそれぞれ警備にあたってもらう。 ほんまは、前線丸ごとで警備させてもらえたらええんやけど、建物の中に入れるんは、私たち三人だけになりそうや」 フェイト「まぁ、三人揃ってれば、大抵のことは何とかなるよ」 なのは「前線メンバーも大丈夫。しっかり鍛えてきてる。副隊長たちも今までにないくらい万全だし」 フェイト「皆のデバイスリミッターも、明日からはサードまで上げていくしね」 はやて「ここを押さえれば、この事件は、一気に好転していくと思う」 なのは・フェイト「うん」 なのは「きっと、大丈夫」 次回予告 なのは「地上本部の警備に向かう私たちと、待舎で見送る機動六課メンバー」 フェイト「襲撃は静かに、そして突然に」 なのは「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第16話」 フェイト「その日、機動六課(前編)」 なのフェ「Take off!」
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―そのアルカナは示した― 00 The changing world 「お目覚めですかな?」 聞き覚えのある声が、彼をまどろみから引き起こした。 俯いていた顔を上げると、彼は椅子に腰かけていた。 目の前には、一度見たら忘れられないであろう燕尾服を着た老人と、見たことのない女性が鎮座していた。 老人は口元に常人ならば頬が引き攣るほどの笑みを浮かべ、女性はただ静かに眼を閉じている。 非現実的な空間は藍色一色に染め上げられ、部屋にしては狭いそこはリムジンの車内だった。 横手のワインセラーから漏れる灯りが、仄かに彼の自然に組まれた足元を照らしている。 …ベルベットルーム。夢ではなく、かといって現実でもない空間。 物質と精神。意識と無意識。夢と現実の狭間にある場所。そして、彼にとっては馴染み深い場所でもある。 しかし、そのベルベットルームの様相は彼が知る場所とは大きくかけ離れていた。 「…イゴールさん」 いかにも、と老人は頷いた。ゆで卵のようにつるりとした頭がゆれる。 それだけならば何の変哲もないただの小柄な老人ではあるが、その異様さは何と言ってもその長い鼻とギョロリと剥かれた目であろう。 一度見たら忘れられそうもない老人…、ベルベットルーム主たる、イゴールだ。 彼はそんな老人の容姿にも慣れたもので、簡潔に尋ねた。 「…僕は、どうしてここに?」 僕は。…僕は、死んだ筈だ。平和の日差しを全身に感じながら瞼を閉じたあの瞬間、僕は確かに死を感じた。死を…そう、あのよく知っていた感覚を。 『さあ―』 脳裏をよぎる声は、されど届かずに。 「結論から申し上げますれば、貴方は確かに元いた世界においては死した身。 しかし、貴方の魂は死の間際、無意識にユニバースの力を発動されたのです。 ユニバースの力によって貴方の魂は、今、別の世界において、体を取り戻すまでに回復なされた。」 「…別の世界…?」 「左様。あなたが目覚めた時、その世界は既に貴方の知る世界ではない。 ユニバースの力が導いた、別の次元世界です。」 「……。」 色々と不可思議な現象を体験してきた彼をしても、理解が今一つ及びつかない。とにかく分からない事が多すぎる。 「フフ、理解できずとも無理はございませんな。契約者の鍵は、まだお持ちですかな?」 「………」 契約者の鍵。淡い燐光を放つ藍い鍵が、彼の目の前に現れた。 それを見て、イゴールは満足げに頷く。 「さて、積る話は御座いますが、時は待ってはくれませぬ。 貴方をここにお引き留めしておくのも、些か難しくなってきました。しばしの別れと、あいなりますな。 では、またお目にかかる時まで、ごきげんよう…。」 老人と女性の姿が虚ろになっていく。 その声も朧げに霞み、意識が覚醒してゆくにも関わらず混濁してゆくという矛盾した感覚を感じながら、彼は声を聞いた。 それは今際のあのとき脳裏に響いたあの声だったのか。 それとも―…。 そのアルカナは示した。 旅路は未だ絶えず、愚者は往く。それは意義ある旅路か、ただの放浪か。 『―始まるよ。』 目次へ 次へ
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ロリコンとは何か? 辞書的な意味ではロリコンとは、幼女や少女に対して抱く男性の性的嗜好、もしくはそういった性癖を持つ人物の事を意味する。 おそらくこの少女の求める答えはこういった明確な意味の回答なのだろうが、果たしてこの事を告げるのはなんとも憚られた。 というより………、 (なぜそのような事を聞いてくる? 一体何があったんだ?) 思考の海にいくら沈もうと答えは出ないし、もちろん状況を打破する事もできない。 窓の外に見える夕日は、そんな彼の姿を嘲笑うかのように悠々と沈んでいった。 リリカルなのはARC THE LAD 『第二話:ミッドチルダの車窓から(前編)』 「なかなか見つからねぇな………」 情報端末を操作しながらエルクはつぶやいた。 場所は自分のアパートの一室。 窓からは朝日が差し込み手元には自分で淹れたコーヒー。 一見清々しい朝の風景のようだが、当の本人は大分疲れた様子である。 普段は勢いよく立ち上がっている髪も、心なしか幾分萎びている様であった。 その原因は昨日受けた依頼にあった。 今エルクは二つの依頼を受けている。 その内の一つであるお届け物、その届け先のティアナ・ランスターの情報を得ようとしているのだがなかなかうまくいかない。 「もっと詳しく言ってくれよな………」 生憎会話する時間が少なすぎて分かるのは唯一名前のみ。 一応依頼者であるティーダと呼ばれていた男から、取り上げたまま持ち帰ってしまったデバイスが有るには有るが、知性型ではなかったため専門の機材がないと情報を得られない。 そのため悪いと思ったが依頼品の手帳の内容を見て、おそらくティーダと兄妹の関係にあるであろうと判断し今検索しているのだが、普段使い慣れていないエルクには大変な重労働であった。 というのも、複数の次元世界の情報の集積地であるミッドチルダの電子の海は途方もなく広大であり、まるで砂漠に落ちた針を探すような徒労感ばかり募ってゆくからだ。 こういった類のものは専門の情報屋に頼るのが一番であるが、荒事専門であったエルクにそんな知り合いは殆どいない。 (シュウならこういうのに詳しいんだが、今はもう一つ依頼があるからなぁ………) どうしたものかと悩ませていると、不意に部屋のドアの開く音がした。 「あの………、おはようございます」 「キュクルー」 現れたのはエルクの受けているそのもう一つの依頼の依頼主である桃色の髪の少女と銀の幼竜。 依頼内容は彼女達の保護である。 「ああ、おはよう。えっと………キャロだったっけ? 起きてすぐに悪いんだが詳しい話を聞かせてくれないか?」 昨夜空港で軽く話を聞いた際にエルクが知った事は、彼女達の名前と管理局に無理やり連れ去られたという事。 この時点で先程の黒服達の話を思い出したエルクは、彼女の依頼を受けてとりあえず自宅に保護したわけだが、事の詳細を聞く前に気が抜けたのか彼女らは寝入ってしまったのだった。 「詳しい話ですか? 何を言えばいいんでしょう?」 「どうしてさらわれたのか、その経緯を教えてくれないか?」 「経緯、ですか………」 エルクの言葉を受けると、少し顔を俯かせながらキャロはポツリポツリと言葉を紡いでいった。 まるで思考を過去へと遡らせるように、世界が変わった、そのときの事を。 ◆ 第6管理世界、その一地域であるアルザス、ここでは古くから竜が神として祭られてきた地だ。 その信仰の恩恵なのか力があるから信仰していたのかは定かではないが、この地では竜を呼び出し使役する「竜使役」という力を持つ者が少なからず存在している。 少数民族「ル・ルシエ」、その中に生まれたキャロもまた、特殊な力が使えるという事を除いては他と全く変わらない普通の子供であった。 ただし、その力は自身が持て余すほどに強大で、あまりにも暴力的であった。 他とは一線を画す力を周囲の人間は、黒き竜の力、災いを呼ぶ力として恐れ拒絶した。 伝統や慣習に縛られ、柔軟な発想のできない彼らには、キャロを受け入れるだけの心のゆとりなど存在しなかったのである。 しかし、唯一祖父だけは神に近い巫女たる力だと庇ってくれていた。 そのおかげもありキャロは祖父ヨーゼフの庇護の下、他者の思惑に触れることなく健やかに育っていった。 だが永遠のものなどなく、祖父により守られてきた平穏はやがて、ある日突然終わりを告げる。 その日はいつに無い快晴であり、吹き付ける涼やかな風に、キャロは今日もきっといつもと同じ穏やかな一日が過ごせると思っていた。 肩には自分で孵した竜フリードリヒを乗せ、祖父の洗濯の手伝いをしていた時、不意に空が陰ってきた。 不思議に思い見上げた空、そこには天を覆うようにして浮かぶ鋭利な形状をした巨大な無機物。 キャロは今までこのような存在を見たことは無かったが、何か良くないものが来たような気がしてならなかった。 「キャロ、中に入ろう、何か嫌な予感がする」 祖父もキャロと同じ気持ちだったのだろうか、キャロに呼びかけると隠れるように家の中へと入っていった。 そして、それからしばらくしてのことである。 「お邪魔するよ」 声のした方を向くと、そこに居たのは入り口に立つ長老と、見慣れぬ幾人かの黒服の男達。 「長老、いったいどうしたのじゃ?」 「………この娘です」 祖父の問い掛けには答えず、長老は黒服達をキャロの方へと促した。 男達は無言で家に入ってくるとキャロの周りに機材を並べ始める。 「なんじゃ、お前達は、何を………?」 詰め寄ろうとする祖父を長老は手で制した。 「二人だ。この数が何を意味するか分かるか?」 「何の話を?」 「ヨーゼフよ、彼ら異郷の者達は竜使役の力を求めている。もう二人連れて行かれた、これ以上長老として我が民の犠牲は出せん」 「長老、まさか………」 「一番力の強いキャロを差し出せば、もう我らに構うことも無いだろう」 「まさかそんな理由でキャロを売ったのか? あれだけ虐げておきながら犠牲になれと!?」 瞬く間に次々と積み上げられていく機材に、やがてキャロの姿が見えないほどになった。 「おおー! こ、これはすごい。ここを見てください。この少女の能力は未開発ながら、こんなに高い数値を示しています。全く素晴らしい………、使えますよこいつは」 「待て、この子に何をするつもりだ!?」 「じじい、邪魔するな!」 祖父は長老の制止を振り切り歩み寄るが、それは黒服に突き飛ばされ叶わなかった。 「おじいちゃん!」 キャロは悲痛な声を上げ近寄ろうとするも、黒服に抑えられて動けない。 黒服の一人は祖父に近寄ると、上から見下すように冷酷に告げた。 「何をするかだと? ふん、貴様には分らないだろうが言ってやろう。こいつは管理局の兵士として新しき人類となるのだ。このガキも恒久の平和の礎となれば本望だろうよ」 「おじいちゃん! おじいちゃん!」 「グルルルル!」 キャロはなおも祖父に駆け寄ろうとし、そんな彼女の不安な心を反映してかフリードは黒服の一人に飛び掛る。 しかし………、 「勝手に動くな」 黒服がつぶやくと同時、突然現れた光の輪のようなものに共に拘束されると、一切の身動きが取れなくなった。 そしてそのまま追い立てられるように、キャロ達は家の外に連れ出される。 非難の声を上げようとした時、キャロはふと横に居並ぶ人達に気付きそちらを見た、見てしまった。 道の脇に佇みじっとこちらを見てる大人たち、彼らのキャロを見る目は連れ去られる事に対する同情でも哀れみでもなく、――安堵である。 やっと余所者が消えてくれる、そんな様子で皆止めようともせず、連れ去られようとするキャロをただ眺めていた。 まるで他人事、連れ去られようとするキャロには何の関心も払いはしない。 その光景を見たくなくてキャロは目を閉じた。 だが、代わりに耳に入ってくる大人たちの囁きは、自分の想像を確信させるものでしかない。 このときになってようやくキャロは自分が嫌われた存在であり、部族の一員として認められていなかったのだと判った。 そしてそのまま、深い悲しみの中で住み慣れた村から連れ出されたのだった。 ◆ 「そうやって連れ出された後、いろんな研究所に移されて何度も検査を受けました。そして昨日、また別の施設に移されるために次元を超える船に乗せられて、空港に着いたら急に建物が揺れて………」 「その隙に逃げ出して俺と出会ったってわけか」 「はい。………村の外で優しくされたの初めてだったから、すごくうれしかったです」 痛々しい表情のキャロを見て、エルクは何とかしてやりたいと思う。 「じいさんの所へ帰りたいか?」 だが、その言葉にキャロはさらに表情を曇らせてしまった。 「………いえ。おじいちゃんに迷惑を掛けてしまいそうですから………」 「そうか………」 強大な力を持つというだけでキャロを忌避していた村である、その排斥は当然祖父にも向かっていただろう。 戻れば必ず迫害される、それ以前にそもそも村に再び受け入れるかも疑わしい。 それに逃げたとなれば、元の村に当然さらった連中の手は伸びる。 強引にさらうような奴等だ、庇えば何をしてもおかしくはない。 加えて、別世界の移動には必ず管理局の厳しい目が入るのが通例だ。 にもかかわらず奴等が検査を素通りしたという事は、管理局の名を騙る犯罪組織などではなく、管理局の裏の顔であると考えられる。 管理局に関する黒い噂は今まで幾つか聞いたことがあるが、所詮噂の粋を出ないものに過ぎないと思っていた。 しかしこうして本人から聞くと、それらの噂も事実ではないかと勘繰ってしまう。 表向きの正義と大義を盾にした、この非人道的な事がどれほど管理局の深くに組み込まれているかは判らない。 もちろん理念ある局員が殆どだとは思うが、やはり管理局との接触は出来る限り避けたい。 そのため管理局に頼み込むという、まっとうな方法では別次元には移動できなくなった。 となるとキャロを元の世界に帰す選択肢が選び難い今、これから彼女を安全に保護する方法はミッドチルダ内、それも管理局の影響の薄いところに行くしかないだろう。 だが、そういった場所は大抵治安が悪い廃棄都市か、そもそも住めないような極地である。 当然そんな所でキャロのような少女が暮らしていく事は極めて難しい。 「だったらキャロが安心して暮らすには、ギルドが幅を利かせている所に行くのがいいな」 「そんな所あるんですか?」 「ああ、俺の知り合いが居るインディゴスって所でな、少なくとも管理局にまた捕まる事はないと思うぜ」 エルクが知る限りで条件を満たす場所は、知人の住む町しかなかった。 そこも特別治安の良い所ではなかったが、ギルドが取り締まっている分いくらか安全である。 おまけに情報を得るのにも都合が良い、問題を一挙に解決できる方法だ。 「そんな所があるなら行ってみたいです」 「そうと決まればさっさと行こうぜ、早ければ早いほど追手は来難いだろうし」 そこで話を打ち切ると二人と一匹は支度を始める。 ただ目的地へと向かうだけ、簡単な旅となるはずだ。 ◆ 夜とは対照的に昼の大通りは活気に溢れている。 その通りの発端、行きかう人波の中心、それがレールウェイの駅である。 そこには凄まじい人だかりが出来ており、その中にはエルク達の姿もあった。 「凄い人数ですね。お祭りでもあるんですか?」 「休日ってのもあるが、昨日空港が焼けたせいだな」 エルクは切符を注文しつつキャロの質問に答える。 休日を利用して遊びに来ていた者は意外と多かったらしく、人の群れの中には旅行鞄を抱えた者が多数見られた。 「そういえばエルクさんの荷物はどこに行ったんですか? 色々用意してたみたいですけど」 エルクは服の上から暑苦しそうな外套を纏っているだけで、先刻まとめていた手荷物の類は見当たらなかった。 「服にいくつか収納スペースがあるんでそこに入れてるんだ」 動きやすいしな、と付け加えてエルクは改めて人波を見つめる。 異常な人数に、大変な時期に重なったものだと苦笑すると、キャロが迷わぬように注意しつつ駅へと進んでいった。 「………なんですか………コレ」 「キュゥ………」 エルク達が今居る駅のホーム、ソレは彼らの目の前に確固として鎮座していた。 大型輸送リニア『グラウノルン』。 古代の巨大列車と同じ名を冠すこのリニアは、その名に恥じぬ巨体に威厳を纏い、まるで見るもの全てを威圧しているようであった。 路線に対して不釣合いのサイズではあるが、そんな見た目の鈍重さとは裏腹に、最新の魔法技術とAI制御により、そこらのレールウェイ等より遥かに速い。 「こんな馬鹿でかいリニアは他に無いだろうから、驚くのもまあ無理ないな。とりあえず中に入っちまおうぜ」 おっかなびっくりなキャロの手を引きエルクは車内へと進む。 内部は当然のごとく広く、通路は二人並んでもまだ人とすれ違えるほどであり、両脇に並んだ個室と壁に施された質素な装飾は、照明と相成って柔らかで落ち着いた印象を受けた。 そんなホテルの様な車両の中ほど、そこにエルク達の座席があった。 部屋の前後には大きくゆったりとしたソファーが備え付けられており、中央に置かれたテーブルには鮮やかな装飾が成されている。 高級な席であることは一目で判るほどに明らかだった。 「あの………、エルクさん」 「なんだ? 腹でも減ったか?」 「いえ、そうじゃなくて………、まあ、確かにお腹は空きましたけど」 「じゃあなんか頼むか」 車内通信で食事の注文を始めてしまうエルクに対し、キャロは急いで訂正する。 「そうじゃなくて、こんな高そうな所でいいんですか?」 「ああ、その事か。今日は人が多かっただろ、そのせいでこういう席しか空いてなかったんだ。くつろげなかったらゴメンな」 「い、いえ! そんなことないですよ」 キャロが急いで否定するとほぼ同時、大きな音でベルが鳴り響く。 出発の合図だ。 ◆ 坦々と流れてゆく都市区画のビル群を横目に、エルクは先程運ばれてきた料理に手をつける。 だが正面に座るキャロは、何かを考え込む様にじっと皿を見つめていた。 横でフリードが物欲しそうにして肉料理を眺めているのだが、それも全く目に入っていないようである。 やがておずおずと顔を上げると、エルクの方を申し訳なさそうな顔で見上げた。 「どうして………ここまで良くしてくれるんですか? わたしは何のお返しも出来ないのに………」 「もしかして、さっきからずっと黙ってたのはその事を考えてたからか?」 エルクが手を止めてキャロの方を見ると、キャロはその通りだと言わんばかりにコクコクと頷いていた。 「んー、なんていうか俺も似たような境遇だったからかな」 「似たような境遇?」 「俺も六年前にシュウ―――これから行く所にいる人なんだが、そいつに拾われたんだ」 「エルクさんが………ですか」 「ああ。傷だらけで、昔の記憶全部無くしてて、シュウに出会ってなかったらのたれ死んでただろうな。だからもし自分と同じように行き場を失くした奴が居たら助けてやろうと思ってたんだ」 「そうですか………」 キャロは少し気兼ねしたようにしてエルクを見る。 「記憶無いんですか?」 「まあ、無くても生活に困らないからな。とりあえず冷めないうちに食事を終わらせようぜ!」 その場の気まずさを払拭すべく努めて明るく言うとエルクは食事を再開し、キャロもそれに習いようやく手をつける。 始終おとなしかったフリードはいつの間にか一皿勝手に平らげており、コロコロした玉のようになって満足そうに横になっていた。 しばらく黙々と食べ進め一段落したとき、思い出したかのようにキャロはエルクを見上げた。 「聞いてなかったんですけど、シュウさんって人もハンターなんですか?」 「ん? そうだぜ、俺にハンターの技術を教えてくれた人だ」 「ハンターってどういう仕事なんですか?」 「色々あるが俺がするのは大体荒事だな。指名手配犯の捕獲や依頼人の護衛、あとは最近急に増えてきた危険なモンスターの対処ってのもある」 エルクの答えにキャロは少し不思議そうな顔をする。 「モンスターって何ですか? 動物とは違うんですか?」 「モンスターってのは他時空からの外来生物、それも人間を襲う奴のことだ。魔法を使ってくる奴もいるから魔導師である俺達が処理するしかないんだ」 「処理って事は、やっぱり殺しちゃうんですか?」 少し悲しい顔をしてキャロが見つめる先には、幸せそうに寝転がるフリードの姿があった。 「………モンスターは次元移動なんて出来ないから、ミッドに居るのはペットや実験体として人間に連れてこられた奴らばかりさ。本来は被害者だが人間に危害を加える以上駆除するしかない」 すっかり暗くなった雰囲気にエルクは、話題を間違えたと今更ながらに思い顔をしかめた。 キャロは閉鎖された村に住んでいたというだけあり、何にでも関心を示し質問してくる。 話題に困らないのは良いが、どう答えてもキャロが喜んでいるようには思えなかった。 そもそもエルクはまだ一度もキャロが笑うのを見たことが無い。 感情の豊かなはずの年頃にもかかわらず、キャロの表情は老成しているかのように変化に乏しい。 ここまで感情を押し込めてしまうほどにキャロを傷つけてきた周囲への怒りで、エルクはなんとかしたいという思考は全て空回りしている様に感じるのだ。 楽しそうな話題を探してふと窓の外を見ると、車外の風景は画一的だった都市から無秩序に繁茂した緑の山々へと変わっていた。 「そうだ、ミッドの風景でも見てみないか? このリニアには確か展望台があったと思うし」 キャロがコクリと頷きフリードを抱きあげるのを見て、エルクも立ち上がり先導するように通路へと出た。 少しはこの雰囲気が払拭される事を望んで。 ◆ エルク達がしばらく歩いて行き着いた先、行き止まりとなる扉には貨物室と表示されていた。 「道を間違えたか?」 「反対側じゃないんですか?」 ろくに案内も見ず進んだせいである。 引き返そうと思ったとき、エルクは何か違和感の様なものを覚えた。 「妙だな」 「どうしたんですか?」 「防犯用レーザーセンサーが切られてる。これじゃ盗んでくれって言ってる様なもんだ」 いぶかしみ扉に軽く触れると僅かに開いた。 それと同時に何かを漁る音、くぐもったうめき声が漏れ聞こえてくる。 明らかに変だという思いから、エルクは隙間から内部を覗き込んだ。 荷物の積まれた棚の並んだ先、そこに数人の人影が見える。 中央には警備員と思われる数人が縛られて転がされており、その周りで四人ほどの男達が荷物を漁っていた。 (どう見ても強盗だよな………) ならば止めるべきとデバイスに手を伸ばしたが、急に強盗らしき男達の一人がこちらに向かって歩いてきたので、急いでキャロを連れて脇に隠れることにした。 入れ替わるようにのこのこと扉から出てきた男、エルクの中では既に強盗確定だが、その理由ぐらいは知っておくべきだと思う。 なぜなら、このリニアはかなり強力なセキュリティーを搭載している。 それを打ち破るにはそれなりの人員と機材が必要だった。 ただの物取りが狙うには割りに合わないのである。 エルクは極力気配と足音を消し、素早く滑るように男の面前へと飛び出す。 相手は驚いたような顔をしたが、もちろん声を出させるような隙など与えず、強烈なボディーブローを叩き込んだ。 抵抗するだけの気力を失った相手を暗がりに連れ込むと、後は極めて簡単である。 少しデバイスをちらつかせるだけで易々と口を割り、聞いてもいないのに全てを話す男。 そして………。 エルク達の今回の旅は簡単な物から一転して、厄介な事へと変わってしまった。 戻る 目次へ 次へ
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【魔法少女リリカルなのは】 ジュエルシード ルーテシア・アルピーノに支給。 ロストロギア指定を受けた次元干渉型エネルギー結晶体。通称「願いが叶う宝石」。 サイズは小さいが、単独で次元震を発生させられる程の莫大なエネルギーを内包している。 かつてプレシア・テスタロッサはこのエネルギーを利用し、アルハザードへの道を開こうとしていた。 すずかのヘアバンド クロノ・ハラオウンに支給。 文字通り月村すずかのトレードマークとでも言うべき白いヘアバンド。 なのは・アリサ・すずかの仲良し3人組ができるきっかけとも言うべき思い出の品。 翠屋の制服 カレン・シュタットフェルトに支給。 高町なのはの実家が経営している喫茶翠屋の制服。 リンディの茶道具一式 ザフィーラに支給。 アースラの艦長リンディ・ハラオウンが茶を点てる時に使っている茶道具一式。 お茶受けの和菓子の他にリンディ茶を作るための角砂糖とミルクも一見分かりづらいが大量に入っている。 【魔法少女リリカルなのはA’s】 カード ギンガ・ナカジマに支給。 デバイス内での炸裂を必要としない簡易型のカートリッジシステムのような働きをする使い捨ての魔力蓄積装置。 仮面の戦士(リーゼ姉妹)が魔力行使の際に使っていた。普段は左太腿のカードホルダーに収納されている。 デュランダル ミリオンズ・ナイブズに支給。 時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンに預けられたストレージデバイス。基本形態は銀色の杖。待機形態は金属のカード型。 闇の書封印のため、当時における最新最高の技術を導入されたデバイス。主に氷結魔法に特化したシステムを有している。 翠屋のシュークリーム チンクに支給。 高町なのはの実家、喫茶店「翠屋」の販売品。やたらと美味しい事を除けば極普通のシュークリーム。 【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 アスクレピオス キングの下に転送されたボーナス支給品。 ルーテシアのブーストデバイスで、ケリュケイオンに似たグローブ型。 補助系(特に召喚補助系)に向いている(ただし本ロワではケリュケイオン同様に呼び出しによる召喚はできない)。 アギト セフィロスに支給。 ルーテシア、ゼストと行動を共にする人格型デバイス(古代ベルカ式融合騎(ユニゾンデバイス))。 リインフォースⅡと同じ程度の大きさ(約30cm)の妖精か悪魔といった風貌をしている。 勝気な性格で「烈火の剣精」の二つ名を自称する。魔力変換資質「炎熱」を保有。 単身での魔法行使も可能で、「烈火の剣精」と称するとおり花火や火球等の火炎系魔法を主に使う。 基本的にルーテシアとゼスト以外には敵意を剥き出しにしており、スカエリッティやナンバーズのことも嫌っている。 しかし第12話では敵対するヴィータ一行の事を案じる一面もあり、根は優しい性格のようだ。ゼストが倒れた際には薬湯を作って看病をして回るなど、献身的な面もある アンカーガン ティアナ・ランスターに支給。 クロスミラージュを受け取る以前にティアナが持っていたストレージデバイス。二挺拳銃型で、その名の通りアンカーを射出するギミックを有している。 イノーメスカノン ミリオンズ・ナイブズに支給。 戦闘機人ナンバーズ10、ディエチの固有武装。ディエチの身の丈すらも凌駕するサイズを持った大砲。IS・ヘビィバレルのエネルギーチャージによって、直射とガス弾「エアゾルジェル」の二種類を発射することができる。実弾も備えられてはいるが、あくまで予備弾なので、事実上ディエチ以外には使いこなせないと言っても過言ではない。 ヴァイスのバイク 遊城十代に支給。 本編十話と最終話でティアナが乗っていた一般的なバイク。持ち主はヴァイス。 使用頻度からティアナやアルトの所有物になりかけているらしい。 ヴィヴィオのぬいぐるみ 浅倉威に支給。 保護されて入院したヴィヴィオのために、なのはが売店でふと思い立って買ったウサギのぬいぐるみ。それからはいつもヴィヴィオに抱かれていたが、ナンバーズによる襲撃の際に燃えてしまった。本ロワでは襲撃前から持ってこられている。 ヴィンデルシャフト シャーリー・フェネットに支給。 シャッハ・ヌエラが持つアームドデバイス。基本形態は柄部にカートリッジシステムを持つ、双剣型。待機形態は2枚のプレートをリングに通した形になっている。付与する魔力の性質により、打撃と斬撃の両方をこなすことが出来る。 カートリッジ アレクサンド・アンデルセンに支給。全30発分。 ベルカ式カートリッジシステムに装填する為の魔力を込められた弾丸。デバイスに装填、使用する事で発動した魔法を強化する事が出来る。 カートリッジ詰め合わせ 高町なのは(StS)の下に転送されたボーナス支給品。 名前通りの代物。 カートリッジ各種が、計30発入った箱。 グラーフアイゼン アレクサンド・アンデルセンに支給。 機動六課スターズ分隊、ヴィータが持つアームドデバイス。基本形態は持ち手の長い金鎚、ハンマーフォルム。待機状態はネックレス状のミニチュアの金鎚。他、噴射機を内蔵し、持ち手の長さも二倍近くになるラケーテンフォルム、巨大なサイズを持ったギガントフォルム、ギガントフォルムのサイズに更に噴射機とドリルを持つツェアシュテーレンフォルム。 クラールヴィント 浅倉威に支給。 ヴォルケンリッター、シャマルが持つアームドデバイス。ネックレスに4つの指輪が掛っている形態が待機形態。起動すると指輪型のデバイスとなり、起動した人間の指に装着される。魔力強化や探査など、補助系魔法で高い性能を誇る。伸ばしたワイヤーは対象の拘束にも使用可能。 クロスミラージュ 矢車想に支給。 機動六課スターズ分隊、ティアナ・ランスターが持つインテリジェントデバイス。基本形態は拳銃型のガンズモードで、これには本体のみのワンハンドモード、複製を作って2丁拳銃となるツーハンドモードがある。待機形態は金属のカード型。他、銃口とグリップを光の刃で繋いだ短刀型のダガーモード、長距離射撃に特化したの狙撃砲型のブレイズモード。 原作ではブレイズモードは登場せず、変形は無しで出力強化のみの仕様にされている。 ケリュケイオン アグモンに支給。 機動六課ライトニング分隊、キャロ・ル・ルシエのインテリジェントデバイス。待機形態は二つの宝玉に羽飾りがついた、ブレスレットになっている。キャロはいつも左腕につけており、アクセサリーにも見える。基本形態は左右両方で一対のグローブ型。付与強化に特化しており、「魔力射出」「射出魔法制御」などを補助するブースト機能を持つ。遠隔補助魔法も可能。 St.ヒルデ魔法学院の制服 カレン・シュタットフェルトに支給。 ミッドチルダにある聖王教会系列の魔法学校の初等科の制服。 St.ヒルデ魔法学院はカリム・シャッハ・ヴェロッサの母校でもある。 ジェットエッジ ヴィヴィオに支給。 戦闘機人ナンバーズ9、ノーヴェの固有武装。ローラーブレード。スバル・ナカジマのマッハキャリバーを元に作られた武器で、元々はグローブ型の装備「ガンナックル」とセット。 シェルコート ユーノ・スクライアに支給。 戦闘機人ナンバーズ5、チンクの防護服。防御壁「ハードシェル」を展開できるコート。 シルバーケープ 金居の下に転送されたボーナス支給品。 戦闘機人ナンバーズのNo.4クアットロの固有武装で、高いステルス性能と魔法攻撃に対する耐性を持っている。 スティンガー ゼスト・グランガイツに支給。全10本。 戦闘機人ナンバーズの5、チンクの固有武装。金属製のナイフで大量生産品。チンクは自身のIS「ランブルデトネイター」発動の媒介としていた。またチンク本人が使用した場合、一定範囲内での転移・空中での静止・軌道の操作などが可能。 ストームレイダー 新庄・運切に支給。 機動六課ロングアーチ所属、ヴァイス・グランセニックが持つインテリジェントデバイス。形態は、認識票型の待機形態と、狙撃銃型のライフルモードの2種。ライフルモードでは望遠や距離計算も可能。またこれとは別に、ヘリパイロットだったヴァイスの操縦補助も行っていた為、704式ヘリの制御に長けている。 ストラーダ セフィロスに支給。 機動六課ライトニング分隊、エリオ・モンディアルが持つアームドデバイス。基本形態は穂先を三角形の外装で包んだ槍、スピーアフォルム。待機形態は腕時計。他、外装から露出した無数の噴射機で飛行可能なデューゼンフォルム、電気系の魔法を最大限に補助するウンヴェッターフォルム。 ゼストの槍 ヴィータに支給。 正式な名前が存在しない為に「槍」または「ゼストの槍」と呼ばれる。 ゼストが管理局時代で使用していたもので、シンプルな作りの槍でありながらも非常に剛健。 ツインブレイズ キングに支給。二本一組。 戦闘機人ナンバーズ12、ディードの固有武装。普段はグリップ部のみだが、起動させるとガラス状のピンクの刃が形成され、刀の形を作る。ディードの意思で弾性を調整でき、自由な“しなり”を作る事が出来る。 背後からの急撃など、一撃必殺に用いられる事が多い。 はやての車 アレックスに支給。 機動六課部隊長、八神はやての愛車である。実際に支給されたのはその鍵、その後駐車場にて車を入手。 バルディッシュ・アサルト キャロ・ル・ルシエに支給。 フェイト・テスタロッサが持つインテリジェントデバイス。基本形態は柄の長い斧の形をしたアサルトフォーム。待機形態は三角形の黄色い宝石が乗った金の台座。他、光の刀身を伸ばした鎌型のハーケンフォーム、フルドライブモードのザンバーフォーム。 本編でバルディシュがシグナムに大破させられ、カートリッジシステムを追加して強化した姿。 ハンドグレネード シェルビー・M・ペンウッドに支給。 セインが時空管理局地上本局の指揮管制室を制圧した際に使用したハンドグレネード。 弾頭部分には化学兵器(毒ガス)が装填されており、2発だけで指揮管制要員数十名を一瞬で無力化した。 この毒ガスは分析によれば「致死性ではなく麻痺性」と言われていた(バリアジャケットに対毒ガス用術式を施す事で回避可能)。 フリードリヒ C.C.に支給。 キャロ・ル・ルシエの使役竜で、通称は「フリード」。 普段はボストンバックに入る程の大きさだが、その真の姿は翼長10メートル以上の堂々たる大きさの竜で「白銀の飛竜」と呼ばれる。 ただし本来ならキャロの「竜魂召喚」の魔法を受けないと真の姿にはなれない(本ロワ内では不明)。 また人語を理解するほど知能は高い。 マッハキャリバー ルーテシア・アルピーノに支給。 機動六課スターズ分隊、スバル・ナカジマが持つインテリジェントデバイス。黒いローラーブレード型で、ファイナルモード「ギア・エクセリオン」時にはA.C.Sが展開される。待機形態は水色の結晶体。 夜天の書 ユーノ・スクライアに支給。 八神はやてが持つストレージデバイス。基本形態は黄金の十字が取り付けられた、茶色い表紙を持つ魔導書。 ライディングボード エリオ・モンディアルに支給。 戦闘機人ナンバーズ11、ウェンディの固有武装。盾でもあり、砲撃装置でもあり、移動手段でもある汎用性の高い大型プレート。 射撃装置は設置弾・直射弾・誘導弾・砲撃の射撃魔法の基礎には対応済み。盾にした場合は人一人丸々防御できる大きさを持っている。 移動手段とした場合表側を上にして、サーフボードのように乗って移動する(ウェンディ以外でもできる)。 リボルバーナックル(左手用) スバル・ナカジマの下に転送されたボーナス支給品。 ギンガが左手に装着している「非人格式・拳装着型アームドデバイス」(リボルバー式カートリッジシステム付き、装弾数は6発)。 それなりに重量がある。 リボルバーナックル(右手用) 八神はやて(StS)の手元に転送されたボーナス支給品。 スバルが右手に装着している「非人格式・拳装着型アームドデバイス」(リボルバー式カートリッジシステム付き、装弾数は6発)。 それなりに重量がある。 レイジングハート・エクセリオン クアットロに支給。 高町なのはが持つインテリジェントデバイス。基本形態は赤い宝玉が先端にある杖状の中距離高速戦特化型のアクセルモード。待機モードは赤い宝玉。他、砲撃特化型のバスターモード、旧エクセリオンモードを改良した強力な射撃と大威力砲撃に徹底特化しているエクシードモード、自己ブーストを応用したブラスターモード。 レヴァンティン スバル・ナカジマに支給。 ヴォルケンリッター、シグナムが持つアームドデバイス。基本形態は片刃の長剣、シュベルトフォルム。待機形態はネックレス状のミニチュアの剣。他、蛇腹剣形態のシュランゲフォルム、弓型のボーゲンフォルム。込められた魔力を炎に変える、炎熱変換機能がある。 レリック(刻印ナンバーⅥ) Lに支給。 ヴィヴィオが鎖で引きずっていた一つで第12話にてナンバーズが奪取したと思いきやティアナの活躍で奪われなかったレリック。 見た目は幻術のおかげで可愛らしい花をしている(激しい動作や衝撃を受けない限り数時間~丸一日は偽装が維持されます)。 説明書には「レリック 可愛らしいでしょう」という馬鹿にしたような言葉のみ。 レリック(刻印ナンバーⅦ) 神崎優衣に支給。 詳細不明の超高エネルギー結晶体。上下両端の尖った、手のひら大の赤い結晶柱の形をしている。特定の人物に移植すると、その人物に強大な能力を与え、死亡していても蘇生させる事が出来る。また高エネルギーの結晶である為、強い不可がかかると周囲を巻き込む大爆発を起こす。 複数存在しており、この個体はヴィヴィオに対応したもので、これを移植する事によってヴィヴィオは「聖王ヴィヴィオ」として覚醒する。そうなると17歳ほどの姿に急成長して高町なのは(sts)を圧倒する戦闘力を発揮し、更に「聖王のゆりかご」も動かせるようになる。 【魔法少女リリカルなのはA s PORTABLE-THE BATTLE OF ACES-】 ルシフェリオン ヴィヴィオに支給されたボーナス支給品。 星光の殲滅者の所有デバイス。 性能は第二期(A s)のレイジングハート・エクセリオンと同程度。性格は非常に無口と思われるが、詳細不明。
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管理世界の技術や文化のレベルは世界や国によってさまざまである 第一世界ミッドチルダのような先進都市もあれば 人と自然がともに暮らす辺境世界もある ここ第23管理世界『ルヴェラ』の文化保護区もまた古き良き暮らしを愛する者たちが暮らす地区 移動も通信も極めて不自由ながら 都会を忘れ豊かな自然と過ごせる土地 魔法戦記リリカルなのはForce Record02 「Lily-Strosec(リリィ・シュトロゼック)」 走り始めた運命の旅路 はたして、その先に待つものとは? トーマ「こりゃまた絶景!」 スティード「記念写真でも撮りますか」 トーマ「そういえばリリィ大丈夫?疲れてない?街についたらゆっくり休憩してなんか食べようね」 リリィ『うん、トーマ』 スティード「こちらは海産物が美味しいようです。焼き貝に魚介のスープ」 トーマ「やめろ~腹が減る~わ――っ」 トーマ【リリィはあれから少しだけ眠って眠っている間に少し泣いていた あんな場所に捕まっていたんだから辛いこともあったんだろう 正直なところこの妙な腕輪とか あの時のこととか聞きたいことはいろいろあるんだけど まずは安全な場所にたどり着いてそれからスゥちゃんに連絡と相談をってことで 地方警防じゃろくな対応してくれねーだろうしな】 トーマ「それにしてもハラ減った。リリィ!ちょっと揺れるけど走っていい?」 「そんじゃ、ダッ――シュ!」 同時刻 第18管理外世界イスタ 村人女「たった二人だったのよ。男と女の二人組。あの二人がこの村を、この土地のみんなを本当にあっという間に…」 本局警防部所属 ティアナ・ランスター執務官 ティアナ「犯人はいったいどうやってこんな破壊を?」 村人女「男の方は奇妙な銃を持ってて、女の方は黒い本を――」 ティアナ「それはこんな…?」 村人女「それ…ッ!それ、刀(かたな)のついてるその銃――」 局員「間違いないですね、執務官」 ティアナ「はい、九分九厘、エクリプス保有者の仕業です」 局員「やはり例のフッケバインという組織(ファミリー)が…?」 ティアナ「これからその調査をしようと思います。生存者捜索の方…よろしくお願いします」 局員「はいっ」 第3世界ヴァイゼン 首都海上橋 シャーリー「ティアナはもう現地入りですかね…?」 本局次元航行部所属 フェイト・T・ハラオウン執務官 フェイト「そうだね、もう調査を始めてる頃かも」 同 シャリオ・フィリーノ執務官補佐 シャーリー「広域捜査は私たちがヴァイゼンから、ティアナがイスタから、で、あのお2人がルヴェラの方に」 フェイト「うん」 シャーリー「各地の捜査隊も動いていてくれますが、やっぱり手は足りませんね」 フェイト「手配はしてるよ、大丈夫。後は向こうが早めに動きだしてくれるといいんだけど」 同時刻 第1世界ミッドチルダ 南部海上 時空管理局LS艦船 ヴォルフラム 同 捜査司令執務室 本局海上警備部 リンフォースII(ツヴァイ)司令補 リインII「司令。そろそろ、記者会見に出かけるお時間ですよ」 はやて「うん」 リインII「現状の担当案件もこの解決発表で最後です。これでやっと動けます」 はやて「そやね」 “元”機動六課部隊長 海上警備部捜査司令 八神はやて はやて「おおきになリイン。いろいろ、よー頑張ってくれた」 リインII「とんでもないです」 はやて「ほんなら、いこか。みんなを待たせたらあかんしな」 リインII「はいですっ!」 ルヴェラ北部 港町 貝焼き屋台のおばちゃん「次元通信?そんなハイカラなもんはここらにゃないねえ」 トーマ「あーやっぱりそうですか」 貝焼き屋台のおばちゃん「次元越えの郵便や電報を出したいなら、山の向こうの教会で送れるよ」 トーマ「あ、それは知ってます。行きに出してきました」 貝焼き屋台のおばちゃん「はい貝焼き串おまたせ!」 トーマ「ありがとうございます」 スティード「予想通りでしたね」 トーマ「まーな。とりあえずリリィの服と靴を買って教会まで歩いてもらうか」 スティード「そうですね」 トーマ「リリィ、おまたせ」「休憩宿はそこらにあるけど服屋はあるかな?」 スティード「それでしたら、あのあたり一角が自由市場(フリーマーケット)のようですよ」 トーマ「リリィ、食べたら行ってみようか?」「おお、けっこういろいろあるもんだ」 アイシス「はい、いらっしゃ~い。素敵な衣装にアクセサリ~♪お!そこの仲良しさん♪いい服あるよ、 見てって~(ハートマーク)」 トーマ「えーとね。この子の靴と服を探してるんだけど…」 アイシス「はいはい!服と靴、サイズはどれくらい?」 トーマ「あ、えーと」 アイシス『……ふむ』 アイシス「んじゃー、まずはさいず計ろっか!よかったらヘアカットもやってるよ。服買ってくれたら特別サービス(ハートマーク)」 トーマ「あーえーと」 アイシス「はい完成。どーお?すっきりしたと思うんだけど」 リリィ『すごい。さっぱりした!』 トーマ「気にいったって」 アイシス「イエイ☆んで、このすっきりヘアーと合わせると…この服もよりかわいいでしょ?」 トーマ「あー、かわいいかわいい」」 アイシス「気に入ってもらえたらうれしいなー♪」 トーマ「んじゃ、お代だけど。いいの?こんな安くて」 アイシス「まー、あたしが趣味で作ったものだし」 アイシス「わお!きれーなリング!これ純銀?」 トーマ「!」 アイシス「彼女もつけてるよね、2人でおそろい?」 トーマ「あー」 アイシス「ん?コレつなぎ目ないけど、どーやって外すの?」 トーマ『ヤバイ!』「ま、まあそのナイショ!はいこれお代ね!」 アイシス「お」「えー、なんか訳アリ?力になれることがあったら……」「え」「おおっ!?」 「ちょっと、おつり、おつり――!」 トーマ「とっといてー!あんがと服屋さん!縁があったらまた!」 アイシス「どーいたしまして――」 旅行者用休憩宿(りょこうしゃようステイハウス) トーマ「はーやっと落ち着いた。今から出ると教会に着くのは夜になっちゃうから、 ここで一休みして明け方くらいに出かけよう」 リリィ『うん』『トーマはすごいね、いろんなこと知ってる』 トーマ「まあ俺はずっと旅暮らしだから」 リリィ『ずっと?』 トーマ「今回の旅はけっこう長め、行った先でバイトしたり発掘品を売ったりとかしながらね」 リリィ「ずっとひとり?」 トーマ「帰るところはあるよ。今は捜しものを兼ねた一人旅なだけ」 リリィ『捜しもの?』 トーマ「ん、まあいろいろ。見つかればいいけど、見つかったとしてもそれを俺がどうするかはまだわからないし。 まあ、その程度の気楽な旅行っつーか」 リリィ『トーマごめんね。ありがとう』『旅行中だったのに助けてくれて、こわい目にあわせちゃったのに優しくしてくれて』 トーマ「いやあの!へいき!俺の勝手でやったことだし!俺もね、昔優しい人に助けてもらったんだ。 だからいいんだ。リリィが痛かったり哀しかったりしないんならそれが一番!オーケイ?」 リリィ『うん、ありがとうトーマ』 市場のおばちゃん「お嬢ちゃん、人気だったねえ」 アイシス「えへへ、おかげさまでー」「地域警邏…?」「おっまわりさーん、どーかしましたー?」 地域警邏「ん?地元の子?」 アイシス「長期旅行者でーす。旅費稼ぎにここらで手作り品とか売ってます」 地域警邏「そう。ここらで今日君と同い年くらいの男の子を見なかったかな。白いコートに茶色い髪。 女の子と一緒かもしれない」 アイシス「はぁ、その子が何か?」 地域警邏「盗難容疑で手配があって。近くの施設から貴重品を盗んだとか」 アイシス「へえー!」 アイシス「失礼します、こんばんわ。地域警邏のものですが、盗難事件についてちょっとお話を」 トーマ「――話はいいんだけどさ。服屋さんはなんでここが?」 アイシス「お客様に大事なお知らせ♪キミら盗難で手配がかかってるみたいだけど心当たりが?」 トーマ「まあ、ちょっと反論しづらいってくらいには。でも、間違ったことはしてない」 アイシス「ふーん」「多分だけど地域警邏がもうすぐ来るよ。逃げるんなら早めがいいかも」 トーマ「ありがとう。服屋さんのサービスにしてはずいぶん行き届いているけど」 アイシス「まーなかなかイカした服屋さんってことで。 ついでに今なら裏路地ルートの脱出ガイドが格安なんだけど、いかがー?」 休憩宿受付「ああその子たちなら、もう会計を済ませて出て行ったわよ」 トーマ「服屋さん、ありがと。もーこのへんで大丈夫」 アイシス「やだなー、目的地まで送ってくよ♪あと服屋さんじゃなくて『アイシス』ね(ハートマーク)」 トーマ「なんてこった、今日は厄日か」 スティード「少なくとも退屈はしませんね」 アイシス「さー♪三人仲良くしゅっぱーつ!」 To be continued record03 「Huckebein(フッケバイン)」
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「はい、じゃあ今日の訓練はここまで」 高町なのはのその声が響くと同時、相対していた四人は漸くに緊張を解き、疲れたように地に伏せる。 ホーリーの訓練場を間借りしてのなのはの教導は現在でも続いていた。流石にミッドチルダの時ほどに施設などに関しては贅沢は言えないが、それでも訓練に使える場所を借りることが出来るだけでも重畳だとなのはは思っていた。 JS事件以降、飛躍的に成長を続ける新人たちはそれこそ未来のストライカー候補とするに申し分の無い素質を開花し始めている。 自分が教えられることは、もはやそう多くはないであろう事を察しているなのはには、それが喜んでいいのか、寂しく思うことなのかは微妙なところだ。 無論、それが喜ぶべきことであるのは分かっている。長く教導官を続けてきて、多くの未来ある才能豊かな教え子たちを空へと羽ばたかせてきた。 教え子たちの巣立ちには喜びと誇りを持つことは許されても、それを厭うことなどあってはならない。 それは自分の元を発ち、己自身の力で空を飛ぶ選択をした教え子たちの誇りを汚すことと同じだからだ。 だからこそ、自分が本来しなければならないことは、旅立つ彼らを誇りを持って見送ること、ただそれだけのはずだ。 だってもう自分がいなくても、彼らは立派に飛べるようになったのだから…… それはこの四人も同じだ。 近い将来、いずれ六課が解散するその頃まではこの子達もまた、立派なストライカーズへと成長を遂げているだろう。 そして自分たちと別れた道の先でも、きっと立派に自身の空を自身の力で飛び続けてくれる筈だ。 だからこそ、教導官として高町なのはがすべき事は、その時までにこの四人を立派に鍛え上げて、来たるべく日には自信を持って送り出してやることだ。 多くの教え子たちにそうしたように、彼女たちにもまたそうしてあげなければならない。 それはちゃんと理解している。だが…… (……出来る事なら、もっとずっと教えてあげていたいし、守っていたい) それが己の我が儘だと十二分に自覚しながらも、そんなことを思ってしまっている自分をなのはは恥じてもいた。 間違いなく、この四人は才覚にしろその精神にしても、長く続けてきた教導官の経歴の中でも最高の教え子たちだと言っていい。 彼女たちを教導できた事を、むしろ自分は誇りに思っているし、自分が教えたことが教え子たちの目指す道の先で少しでも役に立ってくれたなら、これほど喜ばしいこともない。 だが同時に、本来ありえてはならない思考だと自覚しながらも、彼女たちを手放すことを惜しいと感じている自分も確かにいた。 輝く原石であった……否、もう充分に輝き始めている今の彼女たちを、許されることならばこれからも誰よりも近くでずっと見ていたいとも思っていた。 恥ずべき独占欲、それを理解しながらもどこかでそれに言い訳をしようとする自分がいるのが分かり、なのはは自己嫌悪すら正直に抱いた。 分かっている。これはただ彼女たちを羨んでいるだけなのだ。いつか成長し、自分たちに勝るとも劣らぬようになるであろう彼女たち。 これからも彼女たちは成長してどんどん強くなっていく、その果てはまだまだ遠いところだ。 一方で、自分はどうだろうか。全盛時の力を失い、これから先は落ちていくことはあっても上がることは恐らくはないであろう己の実力。 愛娘を救い、教え子たちを成長させていくために選び取った代償。自らでそれを自分は選んだ。ならばそこに後悔は無いし、あってはならない。 この先も、悔いることなくこの選択に殉じる覚悟は既に出来ている。 ……出来ている、はずだった。 それでも、と魔が差している自分がいた。 かつて管理局に入ってすぐの頃、上には上がいるという現実を思い知らされ、それでも強くなろうと我武者羅に足掻いた時期があった。 大切な者を守る為には、力とは時に手段として必要になってくる。だから力を求めて強くなろうと頑張り続けた。 色々あって、ただ我武者羅に無茶を続けることは逆効果であることを痛い教訓と共に覚えたが、それでも力を求めていたあの時に確かに感じていたことがあった。 どんどん成長を続けているのが感じられる、強くなっていることを実感できていたその時、確かに楽しいと思う自分がいた。 力そのものに善悪は無く、振るう者の立場によってそれは決定される……などとはよく言われるが、確かに純粋に力だけを求めていた頃は、楽しくも思えた。 それは教導官となってから他人へと教える立場になってからも、教え子たちがかつての自分と同じように強くなることに自信と喜びを感じられている事を察し、皆同じであるのだと言うことは理解できた。 だからこそ、教導官になって以降も教え子たちを鍛え上げながらも、負けずに己自身もまた鍛え上げ続けることを忘れはしなかった。 そうして全盛時とも言えたあのJS事件前の自分、未だ自分に未熟があることは自覚し戒めながらも、それでもこの自分の力なら、大切な仲間たちや教え子たちを守ることが出来ると信じていた。 でも――― 「なのはさん、どうかしたんですか?」 スバルに呼びかけられ、物思いに耽っていた意識をハッと戻すと共に、慌てて彼女には何でもないと言って首を振るう。 いけない、よりによって教え子の前でこんな事を考えていたなどあってはならないことだと思いながら、皆には先に戻ってシャワーを浴びて着替えて通常任務に就けるよう待機しておくように指示を出す。 指示に従い去っていく四人を見送った後、改めて後片付けを兼ねて一人残りながら、なのはは自身が思っている事をハッキリと口に出して言ってしまっていた。 「……きっと不安なんだ、私は」 全盛時の力は恐らくは最早発揮することは叶わない。無敵のエースオブエースと教え子たちが自分へと抱いてくれた幻想は、それこそ本物の幻想と化した。 だからこそ、これから未知の強大な脅威が教え子たちの前に現れた時、自分は彼女たちを無事に守ってやることが出来るだろうか。 その自信が無い事をハッキリと自覚しているから、こうして不安にもなっている。 大切だから失うのが怖い、離れるのが嫌だ。 だからずっと守っていたい、傍にいて欲しい。 それが依存と呼ばれる弱い考えであることは承知の上だ。もはや彼女たちは充分に強くなったのだから大抵のことに心配を抱く必要は無いはずだ。 だというのに、そんな不安を抱き、あまつさえ彼女たちを侮辱しているとも捉えられる不安を抱いている。 だからこそ、なのははハッキリとこの現実を自覚した。 彼女たちは強くなった。本当に、当初の予想以上に。いつかは自分たちと並び、越えていくほどに。自身の空をその力で力強く羽ばたけるほどに。 反面、己は弱くなった。過去の選択に後悔は無いと謳いながら、力に未練を抱いているほどに。そしてそんなに強くなった教え子たちに、まだ不安を抱き続けているほどに。 魔法少女リリカルなのはs.CRY.ed 第1話 機動六課 「本土からの増援?」 「ああ、何でもお前がこれまでやらかした被害も向こうは無視できなくなったんだろ。それで本土の方から新しいアルター使いがやってきたんだとよ」 君島のその説明にカズマは車の座席に背を凭れさせながら、その情報の内容を改めて反芻する。 と言っても、彼が理解できていることは二つだけだ。 ホーリーに本土から新しくアルター使いどもが配備された。 自分はそれをぶっ飛ばす。 以上の二点、実に単純明快なことに過ぎない。 ホーリーや劉鳳とはケリをいずれ着ける心算だったのだから、横槍を入れてくるようなら纏めて潰す、ただそれだけのことである。 「んな奴ら、全部纏めてぶっ潰してやるさ」 「……纏めて潰すって、カズマ、お前この状況が結構ヤバイって分かってる?」 カズマのその相変わらず過程を省く、単純な思考に呆れながら、君島は相棒の分の危機感すらも余計に感じなくてはならないほどだった。 この話、自分の情報網が掴んだものだから確かなものだという自信がある。だがそれは同時に、本土の連中が自分たちを潰しにかかってくるのに本腰を入れ始めたということを証明しているも同じだった。 先のネイティブアルターたちによる対ホーリー同盟軍は敗北に終わり、救出に向かったカズマの健闘も空しく、寺田あやせをはじめとした多くのアルター使いたちが本土へと送られてしまった。 彼女たちが本土でどんな扱いを受けているか、それを心配すると同時に、ロストグラウンドにはホーリーに対抗しようというアルター使いが大量に減ってしまったという危機的現状もある。 かの惨敗のせいで、今更あの時に召集に応じなかった他のアルター使いを頼ろうにも及び腰のアイツ等は二度と手を貸そうなどとは思わないはずだ。 それはつまり襲われれば局所的に抵抗をする者たちがいたとしても、自ら攻めの姿勢でホーリーへと立ち向かうアルター使いはもういないということだ。 ―――隣で不敵に笑っている、この馬鹿一人を除いて。 「でもよ、相手は組織なんだぜカズマ。個人の力で数を相手に勝とうなんて……アルター使いでもありえないくらい都合良過ぎるだろ?」 この相棒の強さは他の誰よりも君島が一番良く知っている。伊達に長いこと組んで共に修羅場を潜り抜けてきたわけではない。 この男はどんな時でも決して諦めない。まるで不可能を可能にすることこそを義務とでもするように、どんな絶望的状況下でもソレに対する反逆の姿勢を決して崩しはしない。 それに憧れてもいる君島は、この馬鹿でクズで……それでも強いこの相棒と組んで戦える事を誇りに思っている。 けれど、これはもう今までのネイティブアルター同士の小競り合いとは完全に次元の違う話になってきている。 とてもではないが、圧倒的とも思える本土やホーリーを相手に、自分たちが勝ちを収められる姿を君島は想像できなかった。 だからこそ、ここはカズマを説得して逃げるのも手なのではないかとこの時に本気で君島は思ってもいた。 だが、 「だから、逃げんのか?」 カズマが不意に睨むようにこちらを見て言ってきた言葉に、君島は内心を見透かされたのかとも思い、ドキリとした。 今この男が非情に不機嫌な状態であることは君島には即座に察せられた。それこそすぐ殴ってくる男だ、次の瞬間にはこちらに手を出してきてもおかしくない。 「逃げてどうすんだよ、君島? 奴らはきっとどこまでも追ってくるぜ。ならまた逃げるか、このロストグラウンド中をアイツ等に捕まらないように逃げ回り続けろってか?……んなの―――」 瞬間、手を伸ばしこちらの胸倉を掴みあげながら、ハッキリとカズマは睨み怒鳴る。 「―――冗談じゃねえ! ゴメンだね、そんな無様なこと! 逃げてたって何も解決しねえ! 奴らが襲ってくるってんなら、奪ってくるってんなら、戦うしかねえだろうが!?」 勝てる勝てない、やれるやれないじゃない。 勝つしか、やるしか他に道は無い。 「クソムカつくあいつ等に好き勝手やられて我慢できるか! 受け入れるのが運命?………ッハ、だったら―――」 強く真っ直ぐに、それが当然のことの様にハッキリと。 「―――その運命に反逆してやる!……それが俺たちのやり方だろ、君島ぁ!?」 馬鹿はそんな馬鹿な事を言ってきた。 正直、付いていけないのが普通人である君島邦彦が本音としたいところだ。 どんなに頑張っても君島にはアルター能力も無ければ、カズマのような強い考えだって抱き続けることは難しい。 理不尽に奪われるのは悔しいし、抗えるものなら抗いたいと君島だって思っていた。だがそれでも自分は現実に弱く、何の力も持っていない。 カズマのように、強く在り続けることは出来ない。 「……皆が皆、お前みたいにはなれねえよ」 だからこそ、君島はそんな本音を彼から目を逸らしながら告げていた。 絶対にぶん殴られる、その覚悟はしていた。 何せ自分はカズマの嫌う弱い考えを口にしていたのだから……。 だからカズマがそれを許せず、次の瞬間には怒りに任せて拳を振り下ろしてきても、まったくおかしくはなかった。 むしろこの男なら、容赦なくそうすると思っていた。 だが――― 「……そう、かよ」 苦虫を噛み潰すかのような呻き声で呟いたかと思えば、カズマは掴んでいた君島の胸倉を乱暴に離し、そのまま車を降りて背を向けて行ってしまおうとする。 「………お前がそう思うなら、仕方ねえ。好きにしろ……俺も、好きにするだけだ」 振り返りもせず、背を向けたままカズマは最後にそれだけを言って去っていく。 向かう先にあるのはホールドのトレーラー。補給物資の運搬でこの経路を通るのを事前に知り、待ち伏せをしていたのだ。 その待っている最中に、思い留まらせることも考えて先の話題を振ったのだが、やはりカズマは止める気などないらしい。 独りでもトレーラーを襲撃……否、これからも例え独りだろうとも戦い続ける心算なのだ。 それがあの男の……カズマのこの現実への反逆の仕方だとでも言うように。 それを止めろと声をかけることも、その背を追いかけることも今の君島には出来ない。許されない。 一度でも弱い考えを抱き、それを受け入れてしまった。 それはカズマと共に戦う資格を失ったのも同じ。 ただ項垂れるように、何も言えず、背を向け向かう彼の背中を見送り続けることしか今の君島には許されなかった。 ……これなら、思い切り殴られた方がまだマシだった。 カズマのムカつきは今や最高潮に達しかけていた。 それも当然だ、まさかあの相棒がいきなりあんな及び腰の腑抜けた戯言をほざくだなどとは考えてもいなかったからだ。 そう、他の誰でもなく、己の相棒であるあの君島が、だ。 それがカズマには許せず、苛立ちは益々増していく一方だった。 実に胸糞悪い。あの腑抜けた相棒の姿も、クソったれた現実も、そして我が物顔で好き勝手やってやがるホーリーの連中も、だ。 もはやそれこそ一つド派手な喧嘩でもやらないことには収まりなどつきそうにない。 本土から来たアルター使いども、丁度いい。憂さ晴らしにぶっ飛ばしてやるからかかって来いというものだ。 そいつ等がさも当然のようにこちらの前に立ち塞がるなら、それは敵だ、壁だ。 壁はぶち壊す、この自慢の拳でだ。そこには何一つの例外も無い。 「……だからよぉ」 ―――始めようぜ、喧嘩をよぉ!? そう胸中で叫ぶと共に、自らのアルター“シェルブリット”を発現し右腕へと装着させながら、カズマは目視で確認できたトレーラー目掛けて襲い掛かった。 「物資輸送の護衛、ですか?」 「うむ、それを君たち機動六課へと頼みたい」 ホーリーの部隊長室へと呼び出されたなのははそこでマーティン・ジグマールからそのような要請を請けることとなった。 無論、建前の上では増援部隊である以上はホーリーの部隊長から命じられた指示を断ることは難しく、なのはもまたこの時点でそれをする気は無い。 人手不足と陥っているらしいホーリーの手伝いを断る理由も無く、ロストグラウンドの現状をより深く理解するためにも公然と壁の外での活動が出来るのはこちらとしても望むところだ。 だが、 「本日急に、とは随分といきなりですね?」 こちらにもこちらの都合、色々とした準備がある……などとは間違っても目の前の相手を前に口に出すことは出来ないが、いきなり過ぎるというのも事実だった。 「そのことに関しては情報の行き届きがしっかりしていなかったようだ。確かに急な話になってしまってすまない」 「いえ、こちらもお世話になっていますし、そんなお気遣い無く」 謝罪を述べてきたジグマールになのはも慌ててそう返す。 別に不満があったわけではない。それに仮にも軍属が命令に異議を挟むことも許されることではない。 自分たちは機動六課ではあるが、それも立場上ではホーリーに所属している言わば同部隊の一員。お客様ではないのだ。 だからこそ拝命された以上は、 「了解しました。これより機動六課、物資輸送の護衛任務へ就かせていただきます」 責任を持って完璧にやり通す、それが彼女たちの流儀だった。 「―――高町」 聞き慣れた―――ものに非常に良く似た声に名前を呼ばれてなのはは振り返る。 「……劉鳳君。どうしたの、何か用事かな?」 其処に立っていた劉鳳を確認すると共に用件を彼へと微笑みながら尋ねる。 ホーリー部隊きってのアルター使いであり、実直そうな性格そのままの外見の彼とは色々と話をする機会が欲しいと思っていたのだが、今まで残念ながら互いにその機会は無かった。 そしてこれまた残念ながらこれから任務で出撃しなければならない以上、時間はあまり取れない だが彼の方から進んで話しかけてきてくれたのは初めてだったので、手短でも聞いておきたい興味が彼女にもあった。 「ゼブラ27地区に物資輸送の護衛任務に就くと聞いたのだが……」 「耳が早いね。そうだよ、これから私たちのホーリーでの初任務だけど、応援でもしてくれるのかな?」 だとするならば嬉しいものだ、とからかいではなく本心から言ってみた。 だが生憎と劉鳳の方は、それにいやと首を僅かに振りながら、 「気をつけろ。事によっては“奴”が襲撃を仕掛けてこないとも限らない」 それが言いたかっただけだ、と彼が言ってきたのは警告紛いの……否、実質は警告と同義の言葉だった。 劉鳳が“奴”と口にした時の表情の変化から、それを指す人物が彼にとっては特別な相手なのだということは彼女にも凡そ見当がついた。 恐らくそれは――― 「―――NP3228……ううん。カズマ、くん…だっけ?」 なのはの言葉に劉鳳はそうだと肯定の頷きを示した。 部隊内で話はなのはの耳にも届いている。 ―――曰く、互いがその名を刻み合った宿敵同士。 これまでに幾度も対決をし、劉鳳とそのカズマという男は激戦を繰り広げているのだという。 しかも劉鳳のその相手への拘りは尋常なものでないらしく、部隊内の者達ですら気安く触れられぬ話題なのだとか。 ホーリーきってのアルター使いである劉鳳ほどの男がこれ程までに拘っている、それはやはり只者ではないというハッキリとした証明だろう。 アルター能力の仔細を把握したく、なのはは一度劉鳳との模擬戦を実施したことがある。 無論、互いに制限下の上で全力を出す前に終了したが、それでも自分とあそこまで互角以上に渡り合えた劉鳳の実力をなのはは高く評価していた。 あの絶影はあれ以上の真の力を有しているらしく、そのカズマ相手には一度ソレを解放しているという話だ。 そこまでの相手、ならばその実力は紛れも無く本物。なのははまだ見ぬ相手を決して過小評価はしていなかった。 「お前たちのアルターは俺も把握させてはもらった。正直、この大地においても特にお前には早々に匹敵する相手もそうはいないだろう。だからこそ気をつけろ、あの男はその数少ない例外へとなりうる」 それに女子供だろうと容赦はしない。カズマに限らずネイティブアルターの多くはそんな野蛮さを持ち合わせている。 見かけにそぐわぬ実力を彼女たちが有しているとはいえ、傍から見れば女子供ばかりの集まり……それを危惧する部分もまた劉鳳にはあった。 だがそんな彼の心配にも、なのはは微笑みながら頷くだけ。 ただそれだけの動作だが、それなのにそれには付き合いの短い劉鳳ですら心強さを抱かせる何かがあった。 「心配してくれてありがとう。でも大丈夫、私たちを信じて」 なのはの言葉に、「……あ、ああ。そう…だな」と劉鳳は視線を逸らしながら曖昧に頷くだけだった。 その奇妙な様子に首を傾げるなのはだったが、劉鳳は伝えたいことは伝えたとそれだけを最後にこちらへと告げて早々に背を向けて行ってしまった。 素っ気無い、と言ってしまえばあまりにもその通りだ。 しかし…… 「……やっぱ似てるんだよねぇ」 その声といい、一見すれば実直だが堅物にも無愛想にも見え、けれど奥底にあるのは強い信念と確かな優しさ。 自身の兄をどこまでも年下のあの少年はこちらへと連想させてくれる。 そう思いながら、なのはは劉鳳の去り行くその背を見送っていた。 「どうかしたか、シェリス?」 「べっつに~、何でもないですよ~」 そうは言いながらも、シェリス・アジャーニの態度は明らかにどこか普段とは違うことは流石に劉鳳にも察せられた。 まぁ、その理由が偶然にも何やら彼が高町なのはと廊下で話しこんでいた姿を随分と親しげそうだなどと勘違いしてのことだとは夢にも思わないだろうが。 兎に角、これから自分たちも別地区にて任務があり赴かなければならないというのに、彼女に不機嫌になられたままでは任務に支障が出かねない。 ロストグラウンドへと磐石の秩序を制定させるためにもどんな小さな任務だろうがミスは許されない。 そんな若き使命感に燃えている劉鳳にとっては微妙な乙女心を察することなど不可能なのだが、それでも任務を全うするためにも聞かねばならない。 「シェリス、君が何をそんなに怒っているのか俺には分からない。俺に何らかの不備があったならば謝罪しよう、よければ今後の為にもその理由を教えてもらえば尚助かる」 そんな言い方で機嫌を直す女など、次元世界中探しても見つからないだろうが、この手のことに機微が皆無な劉鳳には最大限の誠意の言葉の心算であった。 こうやって気遣う言葉を選ぶだけでも慣れない劉鳳には苦心した作業だった。やはり女という存在は難しいと彼は改めて思った。 そして惚れた弱みというやつか、シェリスにしても劉鳳が苦心している様子なのは察することが出来る以上は、これ以上の我が儘な態度を取るわけにもいかない。 不機嫌でいても仕方が無かったので、諦めの溜め息を吐きながら彼女は劉鳳へと答えた。 「……ごめんなさい、私もどうかしてた。……でも、高町さんとは何を話していたの?」 それだけはシェリスにとってどうしても聞いておきたかった知りたいことでもある。 ただでさえ彼と幼馴染みであるという桐生水守という存在だけでも頭が痛いというのに、今度はまた本土からアルター使いの女(それも年上の美人ときたものだ)がやってきたのだ。正直、現状は彼女にとって気が気ではない。 高町なのは。劉鳳にも匹敵する実力を持った強力なアルター使い。 しかも彼女はあの水守同様に本土からやって来ている才色兼備の逸材だ。 ジグマールも、そして劉鳳もその実力を高く評価している相手だ。自分では正直、何から何まで勝てる気がしない。 もし彼も劉鳳に気があるなら、もし無いとしてもこれからもそうだとは断定できない以上、シェリスの憂鬱と不安はここのところ治まる兆しも見えない。 悩み多き恋する乙女であるシェリス・アジャーニにとっては、いっそのことこの堅物に早く自分の想いを気づいてもらいたいとすら思わないわけではなかった。 ……そうは言いつつも、口に出す勇気はやはりこれまで同様に無いわけだが。 そんなシェリスの内心に気づきもしない劉鳳は、ただ彼女に訊かれた言葉により、先程高町なのはと交わしていた会話の内容の核心だけを簡潔に述べた。 「大した事ではない。ただ奴が……カズマが襲撃を仕掛けてこないとも限らないから気をつけるように忠告していただけだ」 正直、劉鳳にとってはシェリスにも水守にも、そして高町なのはにも目に止めている余裕などない。 彼がいつだって見ているのはただ一人だけだ。 ―――そう、“シェルブリット”のカズマ……あの男だ。 自分に名を刻ませた、自分が倒す、自分だけの獲物。 とことんまで気に入らず、存在自体が目障りだが、それでも憎悪などと言った感情を超えた部分での純粋な拘りを誰よりも抱く相手。 劉鳳にとってカズマとはそんな男だったのだ。 「でもいくらアイツでも、彼女たちも相当やるみたいだし大丈夫じゃないの?」 シェリスにとってカズマという男は劉鳳にしつこく食い下がってくるネイティブアルターという認識しか抱いていない。 その実力は認めるが、それでも力馬鹿であることは変わらず、劉鳳が本気になれば敵ではないという認識を持ってもいた。 それに比べれば、下手をすれば本気の劉鳳を相手に比肩しかねないあの高町なのはならば負けるとは思えないと考えてもいた。 それは劉鳳とて同じ、そう考えていたのだが…… 「断定は出来ん。高町は確かに強い、俺もそれは認めている。……が、あの男の驚異的な成長速度もまた侮れたものではない」 決して高町なのはがカズマに負けるなどと思っているわけでも望んでいるわけでもない。 ただ――― 「……ふ~ん、何だかアイツを倒すのは俺だって顔だね?」 その劉鳳の表情から思わずそんな内心だろうと察し、からかい混じりに言ったのだが、 「―――ああ、それを否定する気は無い」 あっさりと認めてしまった劉鳳の言葉には今度は彼女が呆気に取られた。 それこそ本当に、劉鳳はあの男しか見ていないのだという事をシェリスは漸くにも理解した。 それこそ何て皮肉だろう、妬むべきは水守でもなければなのはでもなく、あの男だと言うことらしい。 「……高町さん、さっさと倒しちゃっていいよ」 「ん、何か言ったか?」 思わずポツリと呟いていた本音に、劉鳳は聞き取れずに聞き返してくるが彼女はそれに何でもないと微笑みながら返すだけであった。 そして内心で本気でこうも思っていた。 もしあの二人が遭遇して戦うようなら、彼女には容赦なくあの男を倒してもらいたい、と…… そんなシェリスの他力本願な願いなど知る由もなく、なのはたち機動六課を乗せたトレーラーは、目的の物資も一緒に乗せてロストグラウンドの荒野を進んでいた。 各自には非常時に備えてトレーラー内で待機を命じてはいたが、今のところ何も起きる様子も無く、車内は平穏そのものと言った様子であった。 「ねえ、ティア。この世でやっぱり一番大切なのは速さだと思うんだ」 「はいはい、そういう布教活動は他所でやってよね」 「フリード、瓜核さんの西瓜がすっかり気に入ったみたいだね」 「うん、エリオ君も良かったら食べる?」 スターズもライトニングも、両新人たちは車内にてそんな呑気な会話をしている始末だ。 いくらなんでも緊張感の欠如しすぎで咎めるべき所、と思えなくもないが一見リラックスをしている彼女たちだが次の瞬間にも異変が起これば直ぐ様に対応へと移ることは出来る。 その最低ラインは保った上での行為ではあり、何よりも自身で考え事に没頭していたなのははそれを咎めることはなかった。 なのはが思考に割いていた大部分の事柄は、やはりアルター能力に関してのことだった。 魔法とは明らかに異なるメカニズム、法則性に基づいた超常の異能力。 管理局が稀少技能と呼んできたもののどれとも異なる、多種多様に満ちた神秘の力。 その原理の詳しいことは解明されてはいないらしく、生憎と独自に調査や考察を続けているなのは自身にもその解には未だ至れない。 それでもはっきりしていること、それはやはりこのアルター能力は使い様によっては魔法同様に非常に危険な力になりかねないということだ。 この秩序の失われた大地において、無法の輩がこの能力を犯罪へと用いれば確かに脅威以外の何ものでもない。 故にこそ、ホーリーという存在もまた必要だということはなのはにも理解できる。 これまでのこの組織の活動記録には調べてみれば多少強引なところがあると彼女自身も思うところがあるが、現地組織への必要以上の介入が許されない管理局員としては口を挟むことは出来ない。 だがあのホーリーを率いるマーティン・ジグマールは八神はやて以上の食わせ者であろうことは察せられるが、決して無頼の徒と言う訳でもない。 ある程度の犠牲は容認しても、最終的に目指す部分に人々の嘆きはないはずだ、それを信じられる程度には彼女もジグマールの人格を評価している心算だった。 互いに利用し合う関係、その本質は変わらないが、少なくともホーリーとの間における六課側の協力関係はこれからも維持していくべきだろう。 ジグマールの意図や目的が気にならないわけでもない、だが自分たちは管理局員としての仕事をまず全うすることを優先させなければならない。 それこそが、過去幾度にも渡って起こっているこの世界で発生する次元震の原因究明とその解決、これをしないことには始まらない。 (鍵はやはりアルター、これは間違いないと思う) アルター能力に接し、調査を進めて行く内になのはは己の仮説の信憑性が改めて高くなってきているのではなかろうかと考えていた。 次元震の影響がアルターによるものだとしたら、それは起こしていることは間違いなく人間だということになる。 どうやって、どれほどのレベルで、その意図や目的は……早計は危険とはいえ、この仮説が当たっているのなら、これを起こしている人物とは何者なのだろうか。 その人物はアルター能力の詳細を把握しているのだろうか。 (今は情報が足りない。まだこれからも調べていく必要がある) これは思った以上の長丁場となりかねない。ミッドチルダに残してきた娘との約束を果たすのはまだまだ先となりそうだ。 それを申し訳なく思い、自身でも残念と思いながら、せめて娘が元気でいるように祈ることくらいしか今は出来そうにもない。 ……思考が私事に脱線している、それに気づき改めてなのはは思考の修正にかかる。 とはいっても現時点ではこれ以上の考察は情報不足により望めそうも無い。今は現状の任務に集中して保留としよう。 だが、とふと今回のこの急な任務についてなのはは考える。 物資輸送の護衛、何の変哲も無い管理局の任務でも何度か経験のある任務だ。 実際、警戒こそ絶やせないが問題さえ起きなければ自分たちの出番など殆ど無いと言ってもいい任務だ。 そして現実にこの瞬間においてもまた平穏そのものだ。 (……でもこのまま平穏、何事も無く終わるとは思えない) 無論、それに越したことは無い。……が、あのジグマールが何事も無く終わるような任務などを自分たちに命じるとは思えない。 自分たちがホーリーを利用しているように、ジグマールもまた自分たちを何らかの形で利用しようとしていることは明らか。 部隊長である彼だけは、なのはたちの魔法がアルターと異なるものだということをはっきり知っている。 そしてそれを何らかの別の形で活用しようとしているだろうことは彼女にも察しがついている。 だからこそ、きっとこの任務は何かが起こるはずだと警戒してもいた。 (それに何だろう? この予感は……) そう、彼女の胸の内には今日の朝からずっと正体不明のモヤモヤとした表現することも困難な何かしらの予感があった。 きっと何かが起こる。……それこそ、これからの自分たちに強く関わってくる何か……或いは、誰か。 これが出会いの予感なのだとしたら誰と、いったいこの任務中にどのような人物と――― そこまで考えかけ、咄嗟になのははいきなり立ち上がると運転席へと向かった。 予感がした、来るという予感が。 何かが……或いは、誰かが……来る。 ならばそれは――― (―――襲撃だ!) 経験則と直感、それが弾き出した答えに導かれ彼女は運転手へとハッキリと告げる。 「停まってください。それから早く扉を―――」 開けて、と最後まで言い切るのも億劫になのははそのままトレーラーの扉へと急いで向かう。 なのはのそのただならぬ様子に、新人たち四人の間にも強い緊張が走り指示を待つ待機姿勢へと変わっていた。 上出来だ、そう内心で頷きながら彼女たちには自分が出た後に、様子を見て出撃してくるように命じた。 やがてトレーラーは停まり、重い扉が今にも開きかける。 「―――レイジングハート!」 『Standby, ready.』 扉を潜り抜けると同時に、セットアップを完了し直ぐ様に飛び立ち――― 「うぉらぁぁぁあああああああああ!!」 ―――トレーラーの真上へと叩きつけるように拳を振り下ろし落下してくる男を発見した。 瞬時に、それを遮るように射線に割り込みプロテクションを展開。 男の赤い拳となのはの桜色の障壁が激突する。 未知のパワーとの衝突、その衝撃が間違いなくアルターのものだとなのはは瞬時に理解した。 「邪魔だぁぁぁああああああ!! どけぇぇぇええええええ!!」 男の拳がなのはの翳した手より展開されるプロテクションを突き破らんと勢いを増し更に押し込まれてくる。 だがなのはも負けじとプロテクションに更に力を込め、外部からの圧力を弾き飛ばしにかかる。 両者ともその力は互角と呼んでいいほどに拮抗していた。 凄まじい衝撃が周囲に波となって伝播し、拳と障壁の接触面は火花を散らすように明滅している。 それこそまるでヴィータの鉄槌の一撃を真正面から受け止めているかのような衝撃に突き崩されそうにもなるが、賢明になのははそれを許さずに弾き返しにかかる。 重装型の砲撃魔導師としての自負、それに掛けても容易く目の前の男の一撃に屈するわけにはいかない。 だがそれは恐らく相手にとっても同じ、まさに何ものをも砕くその自負を持って繰り出されているはずの拳を早々に退けるわけがない。 だからこその、これは両者にとっての等しい意地の張り合い。 「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「はぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!」 不屈の思いが激突し、勝敗を決したのは――― 拮抗を作りヒートアップしていた二人の激突。 それが行われていたのは外界の時間で言えば僅か十秒にも満たない。 突き込む拳と弾く障壁。 矛と盾にも喩えられる激突にも似たそれは、結局両者共に後方へと同時に弾かれるという形で終わった。 つまりはお互い互角、引き分けとも呼べる結果。 無論、それは互いに本気を出し合っての事ではない。先の鍔迫り合いの攻防も所詮は互いにとっては挨拶代わり以上の何ものでもない。 だが両者とも、先の激突により一つの事実を直感的に悟った。 それ即ち――― ……この女、やりやがる。 確かに全力ではなかった、だが打ち抜く心算で放った一撃だったのは確か。 そしてそう決めて打ち下ろした拳であった以上は、その結果はそうなっていなければおかしい。 だが現実にはそうならなかった。相手のアルターの予想以上の堅さを打ち抜くことが出来なかった。 言うなればそれは屈辱。……そう、あの日に劉鳳に味合わされた敗北の味の再現と同じ。 無論、負けたなどとは思っていない。今度は必ず打ち砕く、意地でもそうする。 けれど…… (……手加減できる相手でもねえか) 本気でぶつかるに値する相手、それがカズマの眼前の女に対する偽らざる評価だった。 ……この人、かなりの力だ。 確かに全力ではなかった。だが制限下とはいえ自身の頑丈さには鉄壁に近い自負があった。 重装型の砲撃魔導師として、長所として磨き上げた誇りとも呼べるものであったはずだ。 それが危うく屈しかけた。後少しでも力を抜いていれば確実に打ち破られていただろう。 言うなればそれは脅威。……久しく経験していなかった、自身を脅かすに値する危険性だった。 だが屈したわけではない。まだ自分には余力もカートリッジという切り札もある。 それでも…… (……油断は即敗北にも繋がりかねない) それだけの力量を有している、それが高町なのはの眼前の男に対する本心からの評価だった。 ロストグラウンドの反逆者と時空管理局のエースオブエース。 互いに不屈の信念を持つ両者の初会合による激突とその結果。 そして抱いた互いへの評価。 皮肉と言って良いほどに、それは酷く似通ったものだった。 だがこうして、遂に――― ―――遂にこの大地の上で、二人は出会った。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 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魔法少女リリカルなのはVividキャラクターファイル「StrikerS X」編 リリカルなのは最新作である「Vivid」にはシリーズを通しての設定やキャラクターが多く存在する。ここではその一部を説明しよう。 元「機動六課」 第3期「StrikerS」の中心人物たち 部隊解散後はそれぞれの道を歩んでいる スバル・ナカジマ 年齢:19 能力:陸戦魔導師/格闘家 デバイス:リボルバーナックル マッハキャリバー 元機動六課のフロントアタッカー。明るく人当たりのいい性格。部隊解散後は特別救助隊に転属し人命救助の最前線で活躍している。 ティアナ・ランスター 年齢:20 能力:陸戦魔導師/射撃手 デバイス:クロス・ミラージュ 訓練校時代からのスバルの親友。機動六課時代は同じチームでともに活躍した。現在は時空管理局の執務官として、忙しい日々を送っている。 エリオ・モンディアル 年齢:14 能力:陸戦魔導師/竜騎士 デバイス:ストラーダ 騎士を目指す少年。かつて非人道的な実験に利用され心を閉ざしていたが、フェイトに保護され育てられた。現在は自然保護隊に所属している。 キャロ・ル・ルシエ 年齢:14 能力:召喚魔導師/竜召喚 竜とともに暮らす少数民族の出身。白銀の竜フリードリヒと黒竜ヴォルテールを使役できる。現在は辺境自然保護隊の隊員として活躍中。 ギンガ・ナカジマ 年齢:21 能力:陸戦魔導師/格闘家 デバイス:リボルバーナックル ブリッツキャリバー ナカジマ家の長女。現在は陸士108部隊の捜査官として働き、妹たちやその友達の世話を焼く優しい姉。 Culaume1 機動六課とは? 正式名称は「古代遺物管理部・機動六課」。 時空管理局本局・聖王教会の支援を得たはやてが設立した新設部隊だ。表の目的は強大な魔力を秘めた古代遺産「レリック」事件対応のためだが、 その真の目的は、カリムの「いずれ起こりうるであろう陸士部隊の全滅と管理局システムの崩壊」という予言結果への対策だった。 「JS事件」解決後、その役割を終えた機動六課は解散となり、隊員たちはそれぞれの進路へ進んだ。 元ナンバーズ(ナカジマ家) スカリエッティに利用されていた戦闘機人たち 現在はナカジマ家で家族として暮らしている チンク・ナカジマ 元ナンバーズ「No.5」 能力:ランブルデトネイター 固有装備:シェルコート スティンガー 触れたものを爆発物に変える能力をもつ。外見は幼いが、落ち着いた面倒見の良い性格で、ノーヴェたちに慕われている。 ノーヴェ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.9」 能力:ブレイクライナー 固有装備:ガンナックル ジェットエッジ 口は悪いが根は優しい性格。スバルの母クイントの遺伝子を受け継いでいるため、スバル・ギンガとは実質的にも姉妹。 ごく短い時間だが、イクスと話もしている。 ディエチ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.10」 能力:ヘヴィバレル 固有装備:「狙撃砲」イノーメスカノン ナンバーズ時代は狙撃手として活躍。かつては無口で感情をあまり表に出さなかったが、今ではなのはを始め周囲に心を開いている。 ウェンディ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.9」 能力:エリアルレイヴ 固有装備:ライディングボード 盾にも乗機にもなるライディングボードによる機動力と防御力が売り。語尾に「~ッス」とつく明るい性格で、保護者のゲンヤを「パパりん」と呼んでいる。 Culaume2 「ナンバーズ」とは? 次元犯罪者ジェイル・スカリエッティによって生み出された12人の姉妹たち。 いずれも人の体に機械を融合させた「戦闘機人」で、それぞれ「インヒューレントスキル」と呼ばれる先天固有技能をもっている 「JS事件」の後、管理局に確保された彼女たちは、セインやノーヴェなど自らの罪を認め更生する者もいたが、 ウーノ、トーレ、クアットロ、セッテは非協力的な態度を貫き、スカリエッティとともに軌道拘置所に収容されている。 聖王教会 古代ベルカの「聖王」を敬愛する宗教組織 元ナンバーズのメンバーも保護している カリム・グラシア 能力:預言者の著書「プロフェーティン・シュリフテン」 デバイス:なし 聖王教会・教会騎士団所属の騎士。はやてが機動六課を設立した際、その後見人となった。詩文形式の予言能力というレア能力のもち主。 シャッハ・ヌエラ 能力:修道騎士/格闘家 デバイス:ヴィンデルシャフト 聖王教会所属のシスターで、カリムの秘書。自身も双剣型のデバイスを操る凄腕の修道騎士。今は更正したセインの保護役も務めている。 セイン 元ナンバーズ「No.6」 能力:「無機物潜行」ディープダイバー 固有装備 ヘリスコープ・アイ 無機物を自在に通り抜ける能力をもつ。明るい性格でナンバーズたちのムードーメーカ的存在だった。現在は、修道騎士見習いとして修行中。 オットー 元ナンバーズ「No.8」 能力:レイストーム 固有装備 ステルスジャケット 攻撃・拘束に使う光線を放つ能力をもつ。中性的な外見で、一人称は「僕」。更正後はカリムの秘書として彼女に仕えている。 ディード 元ナンバーズ「No.12」 能力&固有装備:「双剣」ツインブレイズ 優れた戦闘技術をもつナンバーズの末妹。オットーとは双子のような関係で、更正後もともに聖王教会の一員となり活躍している。 Culaume3 「聖王教会」とは? ベルカ自治領域内に本部をもつ、次元世界で最大規模の宗教組織。 数々の偉業を成し遂げたといわれる古代ベルカの「聖王」およびその血族や周辺の騎士たちを崇めている。 他の宗教に比べ禁忌や制約が少ないため信徒数も多く、各方面への影響力も大きい。 古代魔法文明の遺産「ロストロギア」の管理を使命としており、時空管理局との関係も深い。 「教会騎士団」という独自の戦力をもっており、カリムやシャッハはこれに属している。 その他の関係者 「JS事件」「マリアージュ事件」の関係者たち 今は時空管理局の保護下で生きている ルーテシア・アルピーノ 年齢:14 能力:召喚魔導師/獣召喚 デバイス:アスクレピオス 召喚魔法を操る少女。かつてスカリエッティに利用され協力していたが、現在は無人世界「カルナージ」で穏やかに暮らしている。 メガーヌ・アルピーノ 能力:??? デバイス:なし ルーテシアの母。人造魔導師の素体として適合度が高かったためスカリエッティに利用されていた。現在は娘とともに暮らしている。 ガリュー 能力:変形による生体武装の開放 デバイス:なし ルーテシアに従う人型召喚獣。言葉は話せないが、声を判別し理解できる知性をもつ。腕から伸びる巨大な爪が主武器。 イクスヴェリア 能力:「マリアージュ」の無限生成 デバイス:なし 古代ベルカ・ガレア王国の王。スバルに助けられて以来、彼女とは友人どうし。現在は、いつ目覚めるか分からない眠りについている。 Culaume4 「マリアージュ事件」とは? 遺跡研究者たちの殺害から端を発した連続殺人事件の総称。 その真実はトレディア・グラーゼという活動家によってよみがえった古代ベルカの生体兵器「マリアージュ」が、 自らを生み出した王「イクスヴェリア」を捜し暴走したものだった。 事件の中で約1000年の眠りから覚めたイクスは、逃走中のところをスバルに保護される。 マリアージュの分隊長を倒し事件は終息したが、機能不全状態にあったイクスは長い眠りにつくことになった。